研究課題
本研究では、妊娠初期の尿中Na/K比が、分娩前の血圧上昇の発症を予測するかを疫学的に解明し、妊娠高血圧症候群の発症に対する管理指標として有用なものであるか、その効果を明らかにすることを目的に行った。研究方法は、調査対象の毎受診時の血圧、尿検査、血液検査のデータを調査することに同意が得られた健常妊婦に対して、妊娠初期、中期、後期および産後の4回の尿中Na/K 比を測定し、①血圧の値、②妊娠高血圧症候群発症の有無、③尿蛋白、④尿中アルブミン、⑤血小板、⑥出生時の児体重との関連を調査した。また、研究同意時に質問紙による調査も併せて実施した。調査の結果、234名の研究同意が得られた。その内、4回の継続した尿中Na/K 比測定の実施数は102名であった。他については、初期111名、中期88名、後期37名、産後35名であった。質問紙からの結果では、ナトリウムの身体に及ぼす影響は、殆どの妊婦が認識していたが、カリウムについては、認識されていない現状が得られた。妊娠高血圧症候群の発症原因となる危険因子には高血圧があり、ナトリウムが血圧を上昇させることに対し、カリウムはナトリウムと反対の作用として血圧上昇の予防に効果があるとされている。尿中Na/K比と妊娠高血圧との間に関連をみとめた場合、簡単な検査で、ハイリスク妊娠が予測でき、ハイリスク妊婦の分娩までの積極的管理ができることから、本研究は重要な意義を持つものである。
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