研究課題/領域番号 |
15K11740
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研究機関 | 山陽学園大学 |
研究代表者 |
野村 佳代 山陽学園大学, 看護学部, 准教授(移行) (90335589)
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研究分担者 |
早川 晶 神戸大学, 医学研究科, 医学研究員 (40379376)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 親のがん発症 / 子どもへの伝え方 / 親子関係 |
研究実績の概要 |
親ががんを発症した場合、子どもに親の病気を伝えるかについては、テレビ番組や新聞などでも取り上げられ、体験談が示されてきているなど、世間の関心が高まってきている。ただし、この取り組みは、医師やチャイルドライフスペシャリストが中心であり、厚生労働省がHope treeプロジェクトとして指針を示している。看護では、成人看護を専門とする看護師が中心となって子どもに対する支援が検討されている。 今回、自身の病気を我が子達に伝えた一事例について明らかにした。子どもにがん発症を伝えるかは、“協力してもらわないともたない”ため“言わないという選択肢自体がない”であった。実際の伝え方は、初発の時点では、小学生には検診の結果が出た時点で自身のみで“がんかもしれない”、高校生には診断が確定し入院する時点で両親そろって“がんだったよ。協力してね”であり、大学生には父親から伝えていた。子ども達の反応は、“何か実感がない”であった。再発の時点では、3人ともに“あんまり無理させないでね”と伝えるのみで、“転移は伝えても、詳しくは言っていない”であった。現在の子ども達の反応は、母親が元気で見えることから、特に親子関係に変化をきたしている様子はなかった。がんの発症に対する家族の反応については“当事者は最初がショックで徐々に平穏になるが、家族はステージが上がっていく毎にショック度が高くなっていく”と捉えていた。このことから、子どもの年齢によって伝え方や内容に違いがあることが示されたが、病状の変化に対する子どもへの支援も重要であるといえる。 この事例に基づくと、子どもへの伝え方は、小児がんの場合とあまり違いは認められなかったが、小児がんの場合の目的は「積極的治療参加」であり、親ががんの場合の目的は「入院への協力」と、親の身体状態と共に目的が違うことから、今後は親に対する支援について検討していくこととする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
申請当初は、研究協力者が対象者を募る予定であったが、承認後、施設との関連で困難となった。そのため、第1段階である、親のがん発症についての親の子どもへの働き掛けの実際を明らかにするとの目的について、新たな研究協力者と検討している。 現在1例についてデータ収集が可能となっているため、年度前半で親を対象としたデータ収集を行い、後半で学校を対象としたデータ収集を行う予定である。
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今後の研究の推進方策 |
第1段階の、親を対象とした調査を継続しているが、同時に学校関係者や医療関係者に対するデータ収集も計画している。 本年度において、親を対象とした調査と分析を行う。 来年度に学校関係者と医療関係者に対するデータ収集を行うこととする。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初データ収集を予定していたが、学校の教員削減により実習等で研究に費やせる時間が大幅に減少していた。そのため研究協力の依頼や、データ収集が計画通りに進めることができなかった。研究協力者が見込めず、データ収集および成果発表ができていなかった。次年度は、研究に費やせる時間を作り出すように工夫していく。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、研究協力者が見込め、既に1例はデータ収集を実施している。このため本年度の研究計画を年度前半で行い、次年度の計画を公判で実施できるように、計画している。また、家族看護学会への演題登録するなど、成果報告も予定していることから、予算執行も随時実施できると考えている。
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