本研究では親ががんを発症した子供への支援として、親、医療者・学校関係者の3側面からの支援の現状を明らかにすることで支援策を検討することを目的にしていた。 がんを発症した親が、自身の病気について子供にどのように説明するかについては、母親と父親で違いがみられた。母親は、がんを発症した当事者の場合も、配偶者である場合も、子供の理解に合わせて説明しようとしていた。一方父親は、子供に対して説明すること自体躊躇する現状が明らかとなった。また、小児がんの病名告知と同様に、子供への説明方法は子どもの発達段階に応じて違いがみられていた。 医療者によるがんを発症した親に対する支援は、主に緩和ケア病棟でその支援方法を検討されている。支援方法は、子供への対応や、子供への説明に対する親の不安の相談などを、当事者やその家族に対するケアの一つとして実施している。その支援方法は、現在も模索しながら実施している現状がある。緩和ケア病棟に在籍する成人看護を専門とする看護師が主として担っている。小児専門看護師が協働する動きもみられているが、小児の発達段階に応じた関わりの支援が中心であり、子供への説明に関わる機会は少ない。その他、チャイルドスペシャリストといった保育の専門家が、子供に対する支援の一環として親の病気についての説明などの活動を広げている。 学校の場合、在籍児童の親ががんを発症した子供が家族からどのように説明を受けたかではなく、精神的に負担の大きい子供に対する配慮は実施されている。 親・医療者・学校関係者の3側面からの、がんを発症した親をもつ子供に対する支援の現状を明らかにしたが、親が自身の病気について子供に説明することへの支援策を検討するほどの情報を明らかにすることはできなかった。これは研究者の異動や研究協力者の中途での不在などの要因が考えられる。今後、研究環境を整えながら、継続する必要性を示した。
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