出産にかかわる医療過誤により児を喪失した女性の次子の出産に対する支援プログラム 1.助産師に対する調査(平成27年度研究実施状況報告書参照) 2.医師に対する調査(平成28年度研究実施状況報告書参照) 3.助産師と医師の認識の比較検討 児を喪失した女性の次子出産に対する思いの理解は「医療者への不信感により、恐怖心に苛まれながら次子の出産に臨む」「次子を出産した後、医療過誤により喪失した児への思いが強く湧いてくる」など14項目中9項目、必要な支援の理解は「医師と助産師が情報を共有し、一貫した対応ができるようにする」「医療過誤や喪失した児について話す場をつくり、思いを傾聴する」など14項目中11項目、望ましいケアに対する認識については「出産に対する恐怖心が強いと思うので、できるだけ側にいる時間をつくる」「医療過誤や喪失した児について、自分から聞かないようにする(逆転項目)」など10項目中6項目、次子出産にかかわるときの心情は「説明したことを聞き返されたり、メモに書かれたりすると不安である」「いつもとかわらない」など6項目中3項目に有意な差がみられ、助産師と医師の認識に違いがあることがわかった。これらは、日本助産学会で発表した。 4.支援プログラムの作成・実施・評価 これまでの調査から、医師・助産師の「望ましいケアに対する認識」を高めるためには、「必要な支援の理解」を深めることが重要であること、また、女性のニーズと医師・助産師の認識に違いがあることから、関わりの難しさを明らかにすることができた。このような双方の思いや認識をモデル化し、支援プログラムを作成した。調査期間中に出産に至る事例はなく、出産場所となる医療施設と連携しながら支援プログラムを実施することはできなかった。しかし、3人の女性から分娩恐怖感(産前・産後用)及び出産満足度を調査し、支援プログラムに対する一定の評価を得た。
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