昨年度に作成したアンケート調査用紙を配布し、引き続きインタビュー調査も継続した。今年度の研究協力施設に研究対象の父親が少なく、目標とする回収率には至っていないため分析は現時点で単純集計のみとした。 ①NICU入院中における父親の関心と心配は「早産児としての発達」「退院後の発達」の2項に8割の回答があった。しかし退院1か月後の時点では「早産児としての発達」「退院後の発達」より「退院後の生活」の回答が上回っていた。退院1か月後のインタビュー調査による内容分析の結果では心配事として「育児が加わり発達以外の心配が増えた」「成長発達の過程で心配が消えていった」「子どもの反応で何となくの安心を得た」の3つの項目が抽出された。また関心事として「父親役割を模索する」という項目が抽出された。 ②NICU入院中の父親が活用するネットワークは「医師」「看護師」「インターネット」にそれぞれ8割の回答があったが、退院1か月後は「インターネット」のみが8割の回答であった。インターネットの内容は「専門病院のHP等」ではなく「ヤフー知恵袋」「育児ブログ」であった。退院1か月後のインタビュー調査では「専門病院のHP等の発想がなかった」「似たケースの家族のブログのほうが自分たちに置き換えて感じられる」の回答があった。またインターネットを活用する理由に「安心材料のため」「ただの参考」という回答が9割であった。 ③NICU入院中、及び退院1か月後ともに夫婦関係は「妻の信念を尊重する」「その都度話し合う」の2項目に7割の回答があった。インタビュー調査においても同様の内容が抽出された。以上の事から育児支援プログラムの開発において、早産児の専門的な知識の提供や医療者からの直接的な支援ではなく、子どもの発達や今後の生活に見通しを持つ事ができ、父親が主体となった上で妻と共同で実践できる支援が効果的であるという示唆が得られた。
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