研究課題/領域番号 |
15K11746
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研究機関 | 北海道科学大学 |
研究代表者 |
大内 潤子 北海道科学大学, 保健医療学部, 准教授 (00571085)
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研究分担者 |
林 裕子 北海道科学大学, 保健医療学部, 教授 (40336409)
福良 薫 北海道科学大学, 保健医療学部, 教授 (30299713)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 口腔ケア / 口腔機能 / 摂食嚥下 / 高齢者 / リハビリテーション |
研究実績の概要 |
黒岩(2010)による口腔ケア(以下,黒岩メソッド)の実施方法が,実施者によって大きくことなっている可能性が示唆された。そのため,同一患者に対して,黒岩メソッドの実施方法が実施者によってどのように異なっているのか,観察法によって明らかにした。 すでに黒岩メソッドを導入している医療施設に入院中の80代の女性患者に対して,異なる実施者3名(A,B,C)それぞれが黒岩メソッドを実施している様子を側面と正面からビデオにて撮影した。実施者のうち2名は介護福祉士,1名は看護師であった。黒岩メソッドの経験年数は3年から10年であった。撮影されたビデオは,患者の体位,所要時間,実施内容の視点から検討された。 その結果,患者の体位はいずれもベッド上臥位であったが,ベッドの挙上角度と所要時間は,Aが約45度,5分34秒,Bが30度,6分30秒,Cが60度,3分40秒であった。実施内容は「保湿剤を指またはブラシで口腔内・口唇に塗布する」,「ブラシを使って頬・口唇をストレッチする」,「ブラシで舌にバイブレーションを与える」,「舌や口腔粘膜の汚れをブラシでぬぐう」であった。このうち,バイブレーションはBのみが実施していた。また,全員,ぬぐうことに最も時間が割かれていた。さらに,口腔ケアの最後に黒岩メソッドにはない「指に巻き付けたウェットガーゼで口腔内の水気を拭き取る」ということを最長1分実施していた。 結果から,実施方法が実施者によって異なっていること,黒岩メソッドの特徴である口腔機能の維持に関わるストレッチやバイブレーションという要素より,口腔清掃に関わる「ぬぐう」ことに力点が置かれる傾向が明らかとなった。また,最後に口腔内の水分が拭き取られていたため,それが欠かせないのか検討する必要性が確認された。さらに,黒岩メソッドの評価に向けて,地域在住の健康な高齢者を対象に口腔機能の評価を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
調査を開始した直後に,胆振東部地震が発生し実家が被災し,事後処理や両親の介護等の問題が生じて調査が中断した。その後も医療施設側と調整がつかなかったため,研究の進行が遅くなった。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの結果をもとに,黒岩メソッドの標準化を急ぎ,早めに医療機関と調整して,効果の評価を実施する。そのために,研究協力者であり黒岩メソッドの開発者である黒岩恭子歯科医師との連携をさらに深め,方法の標準化を急ぐ。 また,分担者とともに,研究協力を依頼する医療機関を複数選定し,ひとつの医療機関の協力が難しくても,他でデータ収集が可能となるように調整する。これは,医療機関の内部状況が変化し,途中で研究協力を得ることが困難となる事例がこれまで複数あったためである。
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次年度使用額が生じた理由 |
調査実施時期に災害が発生し調査が中断したことにより,調査に必要な経費がかからず,次年度使用額が生じた。残額は,主には調査の費用として使用される予定である。また,その結果を公表するための費用として使用される予定である。
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