計画に基づき、調査②、調査③の2つの調査を実施した。これにより調査①で作成した 「看護職のエンプロイアビリティ測定尺度」の精度と有用性を検討した。同尺度は22項目4カテゴリーから成り、4カテゴリーは「専門性を発揮する力」「ケアを追求する力」「職場でつながる力」「寛容な対応をする力」である。調査②③の協力施設は、地域の中規模病院で幾つかの医療・福祉施設を併せ持ち、介護保険施設等(通所・在宅系を含む)で3か月以上の勤務経験がある看護師が複数在職している3つの病院である。いずれの病院も併設介護保険施設や在宅部門等での実務研修や出向を実施している。 調査②は師長相当職以上の役職者を除き、本研究協力に同意した看護職全員を対象とした質問紙調査である。166名から回答を得た。介護保険施設等の勤務経験がある者は32名、勤務経験がない者は134名であった。介護保険施設等の勤務経験「あり群」「なし群」の群間の差の検定の結果、22項目のうち「職場への愛着がある」が「あり群」で低く、「重大と判断した場合引かない」が「あり群」で高く、他20項目では差はなかった。 調査③は直属の部下に施設・在宅系での勤務経験がある看護師がいる看護管理者を対象としたインタビュー調査である。12名に聴取した。22項目は「どの職場でも通用する看護実践力を問うているか」に対し、在宅系・施設等になじめず病院勤務に戻った看護職が複数いるという事実から「職場への愛着がある」に関しては3名が異論を唱えた。他21項目に関しては「病院看護においても、在宅系・施設等においても重要な看護実践力である」と全員から意見を得た。 調査②と③の結果から、「職場への愛着がある」の1項目を除き、「看護職のエンプロイアビリティ測定尺度」を21項目とした。
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