研究課題/領域番号 |
15K11756
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
藤田 君支 九州大学, 医学研究院, 教授 (80315209)
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研究分担者 |
牧本 清子 甲南女子大学, 看護リハビリテーション学部, 教授 (80262559)
田渕 康子 佐賀大学, 医学部, 教授 (90382431)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 人工股関節 / SF8 / EQ5D / QOL / ライフスタイル / 韓国 / 満足度 |
研究実績の概要 |
目的1.国内の多面的QOL調査について、術後7年目までの調査結果では期間中の反対側の手術130名と未回収の270名を除いた604名が最終分析対象者となった。身体面、精神面の評価については術後5年目との比較で有意な差は示さず、術後のQOLは維持されていた。術後5年目よりQOLが低下した一部の者については、脳血管疾患などの合併疾患の発症や高齢であることがわかった。術後10年目の調査を今年度末まで継続し、さらなる経過を分析予定である。目的2.韓国とのQOL比較を行うため、ソウル市近郊の2施設で股関節術後患者を対象に、the Oxford hip score(OKS), SF-8,韓国のライフスタイル、満足度について質問紙調査を行った。現地での調査は韓国中央大学のKang教授が分担した。倫理審査は各々の施設で承認を受けた。回収した韓国の術後患者113名について、日本人患者と性および年齢をマッチングし、術後6か月から5年までの111名を比較した。日本(JA)と韓国(KO)との比較については、平均年齢は70.3歳と70.5歳でともに65.8%が女性であった。原疾患はJAは関節炎が多く、KOは骨折が多かった。ライフスタイルについてはKOの方が床座が多かった。OKS、SF-8、床座の生活動作の困難さについては、KOよりJAの方が術後の評価が良かった。一方で脱臼と人工関節の耐久性の不安はJAの方が有意に高かった。この結果は中国との比較においても同様であり、日本人THA患者は術後の不安が高い傾向にあることが再確認された。日本ではこのような患者の不安を軽減する患者指導について検討する必要があると示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
国内のQOL調査は術後7年での調査結果の集計は終え、術後10年目の縦断調査を継続中で計画通りに進展している。 また、アジアの台湾、韓国とのQOL国際比較については、昨年の台湾での調査・論文発表を終え、今年は韓国でデータ収集と分析を終え、日本との国際比較について論文執筆中である。こちらについても計画通りに進行している。
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今後の研究の推進方策 |
術後10年目の縦断調査については分担研究者と協力して引き続き、データ回収と回収後の分析を予定している。国際比較については、Kang教授とスカイプや電話、メールで論文発表に向けて進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
(理由)日本で開催された国際学会時に韓国のKANG教授と研究打ち合わせを行ったため、旅費の使用が少なかった。また、他の打合せもスカイプと電子メールで行ったため、経費の使用が少なかった。 (次年度の計画)次年度は、国際学会での成果発表及びデータベース構築の謝金・研究補助謝金として使用予定
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