研究課題/領域番号 |
15K11757
|
研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
田渕 康子 佐賀大学, 医学部, 教授 (90382431)
|
研究分担者 |
武富 由美子 佐賀大学, 医学部, 助教 (20750342)
坂本 貴子 佐賀大学, 医学部, 助教 (90758426) [辞退]
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 認知症 / 高齢者 / 補完代替療法 / アロマセラピー |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、施設入所中の認知症高齢者に補完代替療法としてアロマセラピーを実施し、その有用性を生理学的指標・主観的指標・医学的指標を用い、総合的に評価することである。 介護老人福祉施設に入所中の高齢者12名を対象に、ハンドマッサージおよび芳香浴の有効性を検証するために、マッサージ前後の唾液アミラーゼ値による評価、夜間の睡眠・覚醒リズムによる評価を行った。睡眠・覚醒リズムの評価には、マット式睡眠計、眠りスキャン(パラマウント社製)を用い、2週間の連続した睡眠・覚醒リズムを調査した。ハンドマッサージは、香りを付加しないキャリアオイルのみを用い、片手10分ずつの合計20分行い、その間に、集中力や新陳代謝を促進する効果のあるローズマリーを用いた芳香浴を実施した。さらに、19時から翌朝3時までの8時間、リラックス効果のあるスイートオレンジ、安眠を促すラベンターを用いた、芳香浴を実施した。 対象者は12名、89.6(±7.0)歳、11名が女性で、要介護度1が1名、要介護3が4名、要介護4が7名であった。診断は、アルツハイマー型認知症が6名、脳血管性認知症が1名、認知症の診断が4名で、診断がついていない人が1名含まれた。認知機能の評価ができたのは11名で、軽度1名、中等度6名、重度4名であった。 マッサージ前後の唾液アミラーゼ活性値の測定が実施できた10名中、7名は実施前に比べて実施後は唾液アミラーゼ活性値が低下したが、有意な差は認めなかった。夜間の睡眠・覚醒リズムは、介入前の1週間の平均総睡眠時間は404分、介入中の1週間は443分と延長し、夜間の平均離床回数は1.73回から1.0回に減少したが有意な差は認められなかった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ハンドマッサージ実施前後の唾液アミラーゼ活性値は、今回の対象者では有意な差は認められなかったものの、マッサージ実施中に傾眠、または、熟眠する対象が多く、熟眠していた対象者の唾液アミラーゼ値が上昇していたことから、ハンドマッサージを夜間の睡眠導入時の介入とし、唾液アミラーゼ活性値の測定を実施しないことで、睡眠導入への効果が期待で切る可能性が高いことが示唆された。さらに、睡眠・覚醒リズムに関しては、介入期間を延長する必要性などが示唆された。 以上の結果、および、先行研究の結果を踏まえ、現在日中と夜間の芳香浴、睡眠前のハンドマッサージによる介入による研究のパイロットスタディとして、2週間のコントロール期間、2週間の介入期間での研究に取り組んでいる。
|
今後の研究の推進方策 |
当初の計画を一部変更し、4週間のコントロール期間、介入期間での、日中には覚醒効果が期待できるアロマオイル、夜間は睡眠導入効果が期待できる芳香浴の実施、睡眠前のハンドマッサージによる介入を実施し、介入効果の検証を実施する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度の調査は計画を一部変更して実施し、平成28年度に予定していた調査の開始時期が遅れたため、予定していた人件費を使用しなかった。 また、事情により学会発表ができなかったため、旅費を使用しなかった。
|
次年度使用額の使用計画 |
平成29年度はすでに研究を開始しており、人件費等の予算は使用する予定が決まっている。また、国際学会での成果の発表を予定しており、旅費も使用する予定が決まってる。
|