研究課題
本研究は、人生の終焉を生きる後期高齢者の術後の生きる思いを活かした手術を受ける後期高齢者のケアプログラムの開発を目指している。最終年度は手術を受けた後期高齢者のうち、手術に対する意思決定と術後離床との関係を明らかにすべく研究をすすめた。対象は手術を受けた後期高齢者のうち、手術経過が順調であり退院間近である患者にインタビューを行い、質的機能的に分析した。対象は80歳代女性、腰椎変性側弯症に伴う腰椎椎体固定術後であり、主症状は両下肢痺れであったが術後はほとんど改善していた。家族は子どもとその配偶者、家族で農業を営んでいた。手術を行うことを決めた理由として、【(脚の)痺れを治したい】、【仕事(農業)をしたい】【再び運動をしたい】があげられた。手術を決めた要因として、子どもと仕事を始めたが経験が浅いので【仕事(農業)を担いたい】、【(亡き)夫としてきた仕事(農業)を続けたい】、家族が病弱なので【家族の役に立ちたい】、地域のスポーツ活動に参加する等の【(元来)運動習慣を持つ】があげられた。周手術期看護の目標は術後の早期回復であるが、高齢者は手術侵襲による回復遅延や術前ADLに回復しない場合もある。周手術期にある後期高齢者への看護として、手術を受ける場面の断片的な看護だけでなく、手術を受けるその人の人生にかかわるような看護を提供することが求められていると考える。そのため、後期高齢者が侵襲を受ける手術を決定する場合、高齢者自身が手術後にどう生きたいかを考えた上で意思決定できるよう、援助することの必要性が示唆される。
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