本年度は、前年度までの調査と基に作成した情報共有モデルの素案について、妥当性の確認と実態の把握を目的とした調査を実施した。 調査は、郵送による自記式質問紙調査によって行った。調査用紙は、先行研究から整理された35項目の情報ごとに「共有すべきと考える程度」と「共有できているか」を問う内容である。対象者は、WEB上に公開された地域医療情報システムから無作為に抽出した急性期病院の退院支援看護師500名および医療療養病床で高齢患者の転入に関わる看護師500名である。分析は項目ごとに集計し、カイ二乗検定を行った(有意水準p<0.05)。回収数は212件(退院支援看護師136、医療療養病床看護師76)、回収率は21.2%であった。素案のモデルで提示した全35項目について、急性期病床の退院支援看護師および医療療養病床看護師の合意が得られ、必要な情報項目の合意が得られた。また、モデルの素案の活用について、急性期病床の退院支援看護師と医療療養病床看護師の双方から活用できるとの評価が得られた。図式化されたことで相互の共通認識を促進することに貢献できると思われる。モデルの改良について、入院判定会議の位置づけが病院によって異なることを明記し、そのことを理解し配慮した情報共有となるように注記し、急性期病院内での情報共有の流れを追加した。また、情報共有の内容を指摘された点を追加し、情報共有の段階と目的を時期として別表で示した。 このモデルの活用について、高齢患者が移行する急性期病床と医療療養病床が検討するためのツールとして使用できるだけでなく、それぞれの施設での情報授受のあり方やケアの見直しに役立てられることが期待できる。
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