本研究「看護学生と地域高齢者との世代間交流プログラムがもたらす効果に関する研究」の目的は、看護学生と地域高齢者との世代間交流プログラムの実施と、相互に交流しあうことがもたらす効果の明確化により大学と地域をつなぐ健康長寿推進拠点の基盤づくりを図ることである。 本年度は最終年度で10回の世代間交流活動を行った。3年間継続的に参加した30名の対象高齢者のうち、女性は24名、男性は6名であり、平均年齢は74歳であった。夫婦のみの世帯は5割、持病をもつ者は6割、趣味のある者は8割であった。交流活動は月1回程度で実施し、毎回8割以上の対象高齢者が参加していた。また、毎回の交流活動が終了した後、対象高齢者と看護学生へのアンケート調査を実施していた。 本研究で実施した世代間交流プログラムは先行文献の検討結果と世代間交流のニーズ調査結果に基づいたものであるうえに、参加者であった地域高齢者と看護学生の双方からの評価も得られたことにより、プログラムの効果が得られたと考えられる。また、世代間交流活動の参加により、地域高齢者の満足感のみならず、交流活動への参加意欲の向上も見られた。さらに地域高齢者の健康管理への関心および、疾病予防を視野に入れたセルフケア方法への希求も伺えたため、今後、高齢者の要望に適した、医師を含めた多職種連携による交流内容の検討に取り組んでいきたい。一方、世代間交流活動の参加により、看護学生の地域高齢者に対する理解の深まりのみならず、相互交流がもたらす効果への認識も強化された。超高齢社会の情勢に応じた健康増進につながる看護学生としてのスキルを活かした交流活動をよりいっそう進めるべきであると考える。なお、地域包括ケアシステムの未来を見据えた上での世代間交流による叡智の創出に向けても、本研究における世代間交流プログラムの精錬を図っていくことが必要不可欠であるといえる。
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