研究課題
基盤研究(C)
第二次世界大戦後にブラジル南部へ移住した日系一世が高齢期を迎えている。日本の高齢者では、近所付き合い、知人友人との食事や自治会などの活動があると生活満足度が高いが日系人を対象とした調査はない。65歳以上の日系人53名を対象とし質問紙調査を行った結果、社会交流の頻度や余暇活動の有無による生活満足度尺度Kの有意な違いは認められなかった。しかし、同世代の日本人よりも得点が高かった。インタビュー調査では、10名の高齢男性を対象とし、エリクソン心理社会的発達目録検査等を実施した。その結果、「人生への誇り」「家族の成長」「子どもへの知恵の伝授」等が心理社会的発達と関連していることが示唆された。
老年看護学
ブラジル日系高齢者を対象とした調査から、心理社会的発達の現状と生活満足度、ヘルスリテラシーや言語環境について明らかになった。加えて、ハワイにも多くの日系人が存在しその生活を知ることで、世界各地で多くの日系人が様々な課題と直面している可能性が示唆された。少子高齢化と国際化の中での課題は今後ますます増えていくと考えられ、今回の調査で得られた知見をもとに、さらなる調査と支援を行っていく必要がある。