研究課題/領域番号 |
15K11770
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研究機関 | 兵庫県立大学 |
研究代表者 |
高見 美保 兵庫県立大学, 看護学部, 教授 (50613204)
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研究分担者 |
中筋 美子 兵庫県立大学, 看護学部, 講師 (10733454)
茅野 幸絵 兵庫県立大学, 看護学部, 助教 (50405370)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 認知症ケア / ステージアプローチ / 看護実践モデル / 認知症者 / 家族介護者 |
研究実績の概要 |
本研究は、包括的かつ長期的視点で認知症者を支援することを目指す「認知症ステージアプローチに基づく看護実践モデル」の開発を目的とした。そこで、認知症者が症状や生活機能の変遷に応じて療養の場を移す現状をふまえ、軽度:医療機関(認知症専門外来)、中等度:介護老人保健施設、重度:老人福祉施設、と場を設定し、各場を利用・居住している認知症高齢者とその家族23組/46名、認知症専門医6名と看護師/介護士22名を対象に、1ケース約30分の聞き取り調査を行い、内容分析法にてデータ分析を行った。その結果、全ステージを通して認知症者は「誰かと“居る”」ことを望み、家族は「認知症者と意思疎通できないこと」に困るなど、両者が互いの存在を確かめたいと願うことが分かった。また、医療・ケア専門職は全ステージを通して「患者〝その人″を見る努力」と、認知症者及び家族との関係づくりに留意することが明らかとなった。また、このように従来の認知症進行度別のケアマネジメントでは説明できない、ステージを通したケアの共通性が見出されたことから、「認知症ステージアプローチに基づく看護実践モデル」は、「認知症者の安心・安寧を整える」ことを中心に、「認知症者の本質の理解」と「重要他者(家族、医療・ケア専門職)との関係づくり」で成り立つことが分かった。そして、軽度のステージで、認知症者の能力を引き上げるケアが不足していることや、認知症者と家族の状況が大きく変わる「中等度~重度」の時期に「身体的アセスメント」、「心身を整える意図的介入」、「認知症者と家族の関係づくり」を何層にも積み重ねる必要性が見出された。以上から、「認知症ステージアプローチに基づく看護実践モデル」は重層型のモデルとして構築されることが考えられ、今後の課題として、認知症ケアの専門職研修として、施設/職種形態を越えた合同研修プログラムを考案することが明らかとなった。
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