軽度の要介護高齢者を対象にうつ伏せ姿勢を実施し、要介護の原因となっている廃用症候群に関連する心身機能の変化とリラクセーション効果について明らかにするために小規模多機能施設やデイサービスで研究を進めてきたが、継続的な実施が困難であった。そこで、平成28年度からシルバー人材センターに登録している高齢者に対象を広げて実施した。 平成28-29年度の研究結果において、うつ伏せ姿勢による心身への負担は少なく多くの参加者はリラックスした状態であったと推察できた。また、安楽なうつ伏せ姿勢は身体柔軟性やバランス機能の維持・改善につながり、それは介護予防へもつながることが示唆された。そして、安楽なうつ伏せ姿勢の保持には、頸部の位置が大きく関与していることが明らかとなった。さらに、これまでの普及活動の中で、援助が必要な対象者の場合では、安全で安楽に援助を提供するのが難しいという意見があった。 そこで、平成30年度は、安全で安楽なうつ伏せ姿勢を提供するために①体位変換と②安楽な頸部の位置について探求した。体位変換の方法としては、ベッド上での水平移動と、仰向けからうつ伏せへの変換時に生ずる上肢と肩への荷重・摩擦の改善を検討した。摩擦軽減シートやリフトを用いることで、安全で安楽な援助が可能になるのではないかと考え、デンマークで先駆的に実施されている摩擦軽減シートとリフトを用いた援助方法を学び技術を習得した。 頸部の位置については、ひねりを最小限にするために、アリスベッドマット株式会社の協力を得て、頭部中央を30cm×35cmくりぬいたマットレスの検証と頭~頸部の保持について検討した。
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