研究実績の概要 |
H30年度は、調査5の本調査から得られた尺度をもとに信頼性・妥当性の検討及び組織コミットメントとの関係を明らかにした(調査6)。 全国特養から無作為抽出した300施設の常勤の介護職と看護職各3名の1,800名を対象とし、回収された介護職188名(54.7%)、看護職156名(45.3%)の計344名(回収率19.1%、有効回答率95.6%)のデータより項目分析を行った。その結果、44項目が因子分析の対象となり、主因子法プロマックス回転により6因子34項目が抽出された。因子名と項目数・因子間のα係数は、【上司の任務】11項目・0.95、【業務改革】7項目・0.90、【人事考課】6項目・0.87、【施設長の任務】4項目・0.89、【教育】3項目・0.88、【介護と看護の協働】3項目・0.87となった。尺度全体のα係数は0.96であった。また、確認的因子分析は、GFI=0.84、AGFI=0.81、CFI=0.92、RMSEA=0.05であったことから、尺度の信頼性および妥当性のあることが示唆された。 組織の人材定着の指標である組織コミットメントに影響する職場環境の要因については、組織コミットメント尺度(総得点の平均)、下位概念の情動的コミットメント(下位概念合計点の平均)、下位概念の継続的コミットメント(下位概念合計点の平均)、下位概念の規範的コミットメント(下位概念合計点の平均)それぞれの従属変数に対し、職場環境評価尺度における職場環境評価の6つの下位概念(各下位概念合計点の平均)を独立変数とする重回帰分析を行った。その結果、最もモデル適合度の高かったのは、従属変数が規範的コミットメントであり、標準偏回帰係数は、施設長の職務0.868、業務改善0.075、教育0.069の順で高いことが示された。このことから、特養の人材定着には、施設長による組織運営の重要性が示唆された。
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