研究課題/領域番号 |
15K11782
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研究機関 | 畿央大学 |
研究代表者 |
山崎 尚美 (平木尚美) 畿央大学, 健康科学部, 教授 (10425093)
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研究分担者 |
百瀬 由美子 愛知県立大学, 看護学部, 教授 (20262735)
天木 伸子 愛知県立大学, 看護学部, 講師 (40582581)
小野 幸子 宮城大学, 看護学部, 教授 (70204237)
坪井 桂子 神戸市看護大学, 看護学部, 教授 (80335588)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 認知症高齢者 / グループホーム / 終末期ケア / 看護連携システム / 教育プログラム |
研究実績の概要 |
平成27年度は,文献研究およびグループホームの終末期ケア研修会の実施、看取りの状況を情報収集した。グループホームの終末期ケア研修会に参加した受講者の終末期ケアに関する基礎知識の習得状況、主観的理解度、死生観ついて分析した。 対象はA県内の2地域のグループホームの職員で終末期ケアに関する研修会に参加した受講生62人、終末期ケア 研修会開始直前と終了後に高齢者の終末期ケアに関する基礎 的知識を問う小テスト10 問を実施し、その正答率の推移をデ ータとした。分析方法:研修会前後の小テストの得点の前後の 正答率の差を比較した。対象の概要:受講者62人のうち、小テストに解答し たものは57人であり(回収率91.9%,有効回答100%)、であった。グループホー ムでの経験年数は6.9 年(±4.3 年)、介護職56 人・看護職1 人であった。小テスト10 問の正答 率は、全体で研修前69.7%、研修後77.9%であり、その差は8.2%であった。最も正答率が高かった問いは、研修会前後ともに「医師や看護師への連絡の時期」であり、最も正答率が低かった問 いは「死の身体兆候」であった。また、最も正答率が向上した 問いは「グリーフケアの開始時期」についてであった。研修会前後の基礎的知識の習得は終了直後にはなされていることが確認された。終末期において、 正答率の低い「死の身体兆候」や「グリーフケア」に関する項 目について、研修内容に加え、今後も継続して学習する必要がある。死生観については、問24の「家族や友人と死について語る」の項目のみ、看取りの経験の有無との有意に差を認めた。看取りの経験が約75%はあるものの看取りの経験にかかわらず死に対する恐怖や不安を抱えており、その不安解決のためのフォローアップ研修会や事例検討会の場の提供が必要なことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究の遂行が遅れている理由としては、研究代表者が昇格人事にともなう時間的な業務調整が困難であったこと、またフィールド(グループホーム)との連絡調整時に本研究の対象である看護職の勤務体制の不特定さから、研究協力の時間確保が困難であったことである。
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今後の研究の推進方策 |
文献レビューを再度行い、研究枠組の再構築を行う。また、研究対象である看護職の確保については、全国調査を実施したうえで、フィールドの確認を行い、研究を遂行する。 介入については、上記結果から教育プログラム内容を検討し、教育用アプリケーションのに内容とする。 人的課題については、研究補助者を雇用して、事務手続き等の補助をスムーズに遂行できるように研究環境を整備する。
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次年度使用額が生じた理由 |
前年度は、本務との業務バランスの調整がとれず、文献レビューにとどまった。インタビュー調査、質問紙調査が未実施であり、またテロなどの海外情勢の不安定さから海外のモデルケースの情報収集が行えなかったため、研究計画が大幅に遅れることになった。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、文献レビューの結果から概念枠組みを再構築し、ニーズの把握としてグループホームの終末期ケアの連携時の実際をインタビュー調査、質問紙調査を実施する。また、海外の情勢を考慮して、台湾(雲林県)からグループホームの施設長を招聘し、認知症ケアや終末期ケアの情報収集する。その際に、研修会を開催し、グループホームの終末期ケアに関して関心のある看護職のリクルートを行う。インタビューから得られた知見より、質問紙調査項目を抽出し、全国調査へ展開する予定である。そして、グループホームの看護職の終末期における業務内容の把握および課題について、終末期ケア研修会の内容のニーズを把握する。
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