研究課題
高齢化の進行に伴い今後も認知症高齢者の増加が見込まれる中,認知症になっても住み慣れた地域で,本人の意思が尊重され,その人らしい生き方を選択できる体制を構築,すなわち,認知症高齢者ならびに介護者のQuality of Life(QOL)の向上が求められ,体制作りが進められている.QOLの主要な構成領域のひとつに精神的健康を挙げることができる.最終的なQOLの評価には,対象者本人の精神的健康の測定は非常に重要であるが,認知症高齢者の場合,記憶障害および言語機能障害のために,自身の主観的な心理状態を表現することに困難を伴いと同時に,回答の信頼性を確認することが困難である.加えて,代表的な精神的健康の評価尺度の多くは,自記式,または対象者本人の自己評価によるものであり測定方法上の問題として実施自体が困難であることも多く,かつ回答の信頼性も保障されない.以上より,認知症高齢者の精神的健康の評価に際しては,自己評価と同程度の信頼性,妥当性を有する他者評価尺度のニーズは高いと考えられる.さらに,尺度は項目数や選択肢を極力減らし,記入に時間がかからないことも重要な要件である.以上を踏まえ,本研究では,認知症高齢者において利用可能な他者評価式精神的健康尺度を開発することを目的としている.平成27年度は,項目プールの作成および予備的選択を目的に,既存の精神的健康尺度で使用されている項目の収集と他者評価尺度の作成手順に関する情報の収集を行い,調査票を作成した.一部の検査についてはデータの収集を開始した.
3: やや遅れている
一部の調査フィールドで調査開始準備が遅れ,データ収集が当初想定していたより難航している.
継続してデータ収集に当たる.当初予定していた調査フィールドで調査が開始できるよう準備を進める.データ収集のペースを上げるために,調査員やデータ整理のための人員を雇用するなどの方策を検討する.
一部調査フィールドでの調査開始が遅れ,調査員を雇用するために申請していた人件費がほぼ未使用だった.また,海外での成果発表を予定していたが,多事業とのスケジュール調整がつかず,当初予定していた国際学会に参加できなかったため,旅費の一部が未使用だった.
データ収集のペースを上げるために,調査員やデータ整理のための人員を雇用するための人件費として使用する.また,得られた成果について国内外の学会で公表するための旅費として使用する.
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (14件) (うち国際学会 2件)
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