研究課題/領域番号 |
15K11794
|
研究機関 | 山形県立保健医療大学 |
研究代表者 |
小澤 芳子 山形県立保健医療大学, 保健医療学部, 教授 (60320769)
|
研究分担者 |
田中 克枝 弘前医療福祉大学, 保健学部, 准教授 (40315544)
小野寺 敦子 目白大学, 人間学部, 教授 (40320767)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
|
キーワード | 若年認知症 / 20歳以下の子ども |
研究実績の概要 |
成果1 若年認知症を親に持つ子ども(20歳以下)の倫理に関する検討:若年認知症の親を持つ20歳以下の子どもに関する研究の倫理的な配慮を検討することを目的として、小児看護学会及び海外の文献における倫理的配慮の項目を参考にして、若年認知症を親に持つ子どもに対する特にインタビューの際での倫理的配慮について内容検討した。結果は、対象となる年代に合わせた個人情報に関する説明、対象者の選択方法、必要時は親の同席、インタビュー時の動揺や混乱時等への対応、インタビュー後のフォロー(親と子)などきめ細かい配慮が必要であることがわかった。これを基に倫理委員会で承諾された。 成果2 若年認知症を親に持つ子どもへのインタビューの実施:<目的>子どもが抱える諸問題や生活への影響等を明らかにすることを目的に2名(18歳と20歳)のインタビューを実施し、内容を分類した。結果、気にしない友人や同じ境遇の友人の存在などの【友人関係への影響】、大学進学は国公立と決められていた、学校行事への不参加など【学習環境への影響】、できたことができなくなることや言葉で通じなくなった時、昼夜逆転、異食などBPSDの顕著など【親の状態変化に対するショック】、将来は親らしいことをしたい、【自分将来への影響】、頑張っている姿、不自由でない生活など【介護する親に対する感謝】の5カテゴリが抽出できた。以上の結果から、親の状態は子どもの年齢が低く物心がついた時からであることから、子どもは自分の親はそういうものだとして自然に受け入れることができていた面もあると考える。また、子どもたちが成長発達するためには友人や地域の人のサポートや理解が必要であることがわかった。それらのサポートがあることで学業への影響や孤立することなく生活できていたのではないだろうか。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
遅れている要因としては、1.若年認知症を親に持つ20歳以下の子どもに関する倫理的配慮(特にインタビュー)に関して、日本では確立していないことから、諸外国の文献内容を検討して倫理委員会への書類作成に時間を費やしたこと、2.若年認知症の親を持つ子ども(特に小学生や中学生)は精神的な影響が強いことや学業に影響していることなど、インタビューの実施が困難な状況にある、ことがある。特に20歳以下の特に小学校高学年~中学生へのインタビューについては、方法やアプローチの仕方等を今後に検討する必要があると考えている。
|
今後の研究の推進方策 |
研究2若年認知症を親に持つ子どもへのインタビュー:今年度は関係する家族会に協力要請を積極的に行い、インタビュー数を増やす予定である。その際には、必要時は子どもとの関係や介護者との関係形成を行い、実施できる環境を整えていくことが必要である。研究1:若年認知症を親の持つ20歳以下の子どものフォーカスグループインタビュー:20歳以下の子どもへのインタビューで協力が得られた子どもを中心にして実施する予定であり、フォーカスグループインタビューの実施を若年認知症を親に持つ子どものセルフヘルプグループ運営(研究3)に発展できるように取り組む予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
昨年度は文献検討が中心だったことから、予定していたインタビューの実施ができなかったために残金となった。
|
次年度使用額の使用計画 |
物品費200,000円:文具・印刷等、旅費500,000円:インタビューに関する旅費および国内外での成果発表等、人件費・謝金:250,000インタビュー参加者への謝礼、インタビューのテープ起こし等、その他100,000円:翻訳料、投稿料他
|