研究課題/領域番号 |
15K11796
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研究機関 | 埼玉県立大学 |
研究代表者 |
市川 佳子 (松本佳子) 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 准教授 (30277892)
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研究分担者 |
出口 禎子 北里大学, 看護学部, 教授 (00269507)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 精神看護学 / 継続学習 / 学習支援プログラム / 精神科看護師 / 民間単科精神科病院 |
研究実績の概要 |
H28年度は、(1)民間単科精神科病院の看護部長からの聞き取り調査と、(2)民間単科精神科病院3施設の病棟看護師へのインタビュー調査を実施した。本研究の最終目的は、精神科看護師の継続学習のための現場に密着した学習支援プログラム作成と、継続学習のためのサポートシステムを構築することである。その基礎データを得るために、まずH28年度前期の調査では看護部長からの聞き取り調査を行い、現任教員の現状と課題を明らかにすることを目的とした。 その結果、看護部長の苦悩している姿-学習環境のあり方が看護師退職の誘因ともなりうる危機感-が浮き彫りになった。また事務局等、他部門との連携が、現任教育の質に大きく影響していることが明らかになった。そのような中、各施設同士の連携の兆しがみられ、中には、施設内でCNSと認定看護師が連携し学習会を試みるなど新たな動きがみられていた。以上のことから、現状の課題を乗り越えるためには、専門職連携の在りようが問われると同時に、集団で行うトップダウン型の学習提供には限界があり、ボトムアップ型の学習支援プログラムが必要であることが示唆された。 これらの結果を踏まえ、(2)の調査を行った。3施設の看護師計12名へのグループインタビューの結果、看護師たちが望む学習のニードには、共通する項目と個別の項目があった。共通項目としては身体的アセスメント、家族の傷つきや家族のPTSD、専門職連携のあり方、退院をみすえたソーシャルサポートの知識などであった。一方、個別の項目としては看護師自身の感情処理の問題や、看護師同士のチーム形成の難しさであった。 以上のことから、各学習項目に関する学習支援プログラムの必要性と同時に、グループダイナミクスや人間関係論についての基礎知識を充実させることの重要性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H28年度は、民間単科精神科病院の看護部長への聞き取り調査、及び、3施設の民間単科精神科病院で働く病棟看護師、計12名へのグループインタビューを行った。インタビュー調査は、当初の計画通り順調であるが、得られたデータを分析のための時間を確保することが課題である。
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今後の研究の推進方策 |
来年度以降は、3施設において、実際に現任教育を企画している師長やCNS,認定看護師らのインタビュー調査を行い、研究者である私たちとCNS、認定看護師といった専門家がプロジェクトチームを組み、現場の声を反映したボトムアップ型のサポートシステムを開発することを目指すことを考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、主にインタビュー調査によるデータ収集を計画通り実施した。しかし、収集したデータ分析のための時間の確保が難しく、当初計画していた分析のための書籍代がまだ未使用のため。
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次年度使用額の使用計画 |
関連書籍、パソコンのインク、印刷用紙など消耗品の購入、聞き取り調査の協力者への謝礼の他、研究分担者、協力者との打ち合わせ、交通費、会議費など。関連学会への参加費、宿泊・交通費など。
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