本研究のテーマは、『訪問看護師の「問題状況自己診断スケール」と診断の手引きの開発』であり、訪問看護ステーションに就業する看護師が、自律的に問題を解決し、問題解決力を向上させることを可能にする「訪問看護師の問題解決力向上システム」を開発し、その普及に向けてシステムの有効性を検証することを目的とした。 平成27年度は、訪問看護師が直面している問題を質的データから分析することとした。既存のデータを活用して、看護教育学における内容分析を用い、分析を進め、分析過程において追加データの収集が必要であると判断し、研究計画の修正を図った。平成28年度は、追加データの収集の根拠を含めた研究計画書を倫理審査委員会に提出し、再審査を経て、条件付き承認の結果を得た。追加データ収集の計画を進めながら、質的データの分析を並行して実施した。質的データの分析結果の精度を高めるために、平成29年度も質的データの分析を継続したが、研究結果の産出と追加データ収集の並進に困難を来した。 平成30年度は、研究計画を再構築し、質的データに限界はあるものの結果を産出し、それに基づく「訪問看護師が直面する問題診断尺度」の作成に取り組んだ。選択肢に「非常に当てはまる」から「ほとんど当てはまらない」までの5段階を設定したリカート型尺度を作成した。検討を重ねる経過において、リカート型尺度が適切か、チェックリストが適切か議論し、結論に至るまでに時間を要した。そのため、研究計画を1年間延長した。平成31(令和元)年度も、「訪問看護師が直面する問題診断尺度」の質問項目作成を継続し、研究計画書とともに倫理審査委員会に提出した。その結果、研究計画の承認を受けることができた。 今後の予定として、令和2年度に「訪問看護師が直面する問題診断尺度」の完成を目指すべく調査を実施し、尺度の信頼性・妥当性を検証する。
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