研究課題/領域番号 |
15K11818
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
榊 恵子 昭和大学, 保健医療学部, 教授 (90235135)
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研究分担者 |
北原 佳代 日本医療科学大学, 保健医療学部, 准教授 (70389708) [辞退]
石野 徳子 昭和大学, 保健医療学部, 教授 (20407406)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 精神看護学 / 教育実践 / ライフヒストリー |
研究実績の概要 |
2016年度は計4名の面接を終了し、研究開始時から計8名の面接データが蓄積された。参加者の年齢は40歳代から50歳代であった。また、テーマ「精神看護学の自己教育体験を理解する」の学習会を開催し、データ分析の際の教育体験理解における解釈の妥当性向上に努めた。
面接データを逐語録化したものを、2015年度のデータも合わせて、改めて年代に注目しながら各データを記述し分析した結果、1)教員の生育歴と、教員の実習学生としての過去の体験、2)日本社会の変化、が重なり合って、精神看護学教員の実践が作られていることが明らかになってきた。一事例として、看護カリキュラム改正によって精神看護学が科目として独立した際の人手不足を契機に精神看護学を担当するようになった教員が、知らない領域であっても関心を寄せて、好奇心を持つというスタンスで教育活動にあたっていた例の分析を行い発表した。また、肉親に精神障害者がいた研究参加者で、患者中心の看護の到達に闘志を燃やし、学生を、愛情をあげる役目も重ねて丸ごと抱えながら指導を続け、情熱を持って教育に取り組んでいた事例があり、教員個別の特徴的なライフストーリーも明らかになってきている。さらに、参加者からは、面接を通して語ることで自分を振り返る機会になっているという声も聞かれ、語ることの効果が明らかになってきている。教員自身がこうした自己体験に関心を持てるようにサポートを行うことによって、自らの精神看護学教育実践のストーリーへの認識が高まる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
参加者の語りは個別的で個々に強い特徴を持っていることがわかってきた。データ分析時に偏ったパターン化に陥らないように、個別性に着目した分析を進めるためには、データを比較し、過去の文献を参考に、さらに分析結果と時間的距離を置きつつ繰り返し推敲し、データ解釈の妥当性を高める必要があるため。
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今後の研究の推進方策 |
2017年度は、データ収集を継続しながら、参加者個別のストーリーを緻密に読み込み解釈し結果としてまとめていく。研究目的に沿った、精神看護学の科目独立に焦点を当てた分析に加えて、個々の参加者のライフストーリーを丁寧に分析し、データが表している事実を全体的に捉えて考察していく。分析や解釈の妥当性や信ぴょう性をさらに向上させるために、今年度も学習会を開催する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
面接結果には、精神看護学の科目の独立に関連する語りとは別に、個別の多様な語りが含まれている。その内容を多角的重層的に分析するための情報収集等活動の拡大が遅れ気味であったため。
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次年度使用額の使用計画 |
学会発表を含めた、学会参加や学習会、研究会の企画、文献検討を繰り返すことによる精密な解釈に向けての活動を拡大する。
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