研究課題/領域番号 |
15K11822
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
寺岡 征太郎 東京医科大学, 医学部, 講師 (30626015)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 自殺予防 / 自殺再企図 / 精神科看護 |
研究実績の概要 |
本研究では、多様な背景をもつ自殺企図歴がある患者を継続的に支援するための「包括的自殺再企図予防プログラム」の開発を試みているが、平成28年度には自殺企図歴がある患者の入院体験および入院中に提供された看護ケアに対する思いに焦点をあてた調査に取り組んだ。 選定基準を満たし同意が得られた自殺企図歴がある精神疾患患者を対象に非構造化面接を実施し、その面接内容を質的帰納的に分析した。 面接調査では次のような内容(一部抜粋)が語られた。①自殺企図後に搬送された救急センターの看護師には自分の思いが届かないような感覚を抱いたが、転院先の精神科病棟では、看護師の堅苦しくない応対に救われる思いがしたという体験。②社会復帰への不安が強い中、信頼できる看護師との出会いに救われ、温かな情緒的交流がもてる病棟雰囲気によって安全感を取り戻していくプロセスを歩んだ様相。特に、入院生活の中では、看護師と言語的コミュニケーションを多くもつことよりも、看護師と信頼できる関係性をもつことが協力者の支えになっていた状況について共通して語られるといった特徴が見いだされた。
今年度の研究成果と平成27年度に実施した調査(自殺再企図予防を目的とする意図的な看護ケアとして抽出された9カテゴリ)で得た知見を融合する作業に入り始めているところであり、より実践的な「包括的自殺再企図予防プログラム」の草案を具体的に作成し、プログラムを用いた介入研究の準備・実施に取り掛かる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
外来で実践可能な自殺再企図予防を意図した看護ケアの抽出に時間を要したため、多様な背景をもつ自殺再企図歴がある患者を継続的に外来で支援するための「包括的自殺再企図予防プログラム」の草案が未完である。 その理由の一つに、自殺企図歴がある患者・家族へのインタビュー調査が計画よりも遅れたことが挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、自殺企図歴がある患者の入院体験と、入院中に提供された看護ケアに対する思いなどの調査を進めながら、現在作成中のプログラム草案を具体化させる。 そのうえで、プログラムを用いた介入研究の準備・実施に取り掛かる予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成28年度にとりかかる予定であったプログラム草案作成が遅れているため、研究計画に盛り込んでいたワークショップの開催が実施できなかった。そのため、それに係る経費を次年度に繰り越すこととした。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度には申請者がかかわる関連学会または研究会において、本研究テーマに基づいたワークショップを実施する計画である。
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