本研究は、精神科病院での患者の自殺を予防するために、精神科看護師への自殺予防教育プログラム普及に関する人材育育成プログラムの開発を目的としている。 精神科において、患者の自殺未遂や自殺企図への対応は、看護師に必要な能力である。しかし事前に自殺の予兆を発見できなかった看護師自身の後悔や自殺未遂などが行われた場合、医療事故の観点からの振り返りが、対応した看護師の個人を責めてしまう場合があり、自殺念慮を抱えた患者の十分な検討ができていないことが考えられた。自殺予防教育プログラム普及のための人材育成を行うには、精神科病院でのリスクマネジメントの捉えかたや職場の文化に十分配慮して実践する必要があると考えられた。 病院内での自殺を予防することを中心にプログラムは考えられているが、精神科の自殺は、入院中の患者の外出・外泊時や退院後に発生する場合もある。患者の退院に向けた支援と自殺予防のバランスをどのように考えていくかが大切な視点であると考えられた。現在の精神科医療は、入院施設での治療後、訪問看護や地域施設での支援との連携が行われている。こうした連携の中で、どのように自殺予防を行っていくかが課題であることも明らかとなった。 この後自殺予防プログラムを実施し、プログラムに参加した看護師のフィードバックを、人材育成に活かしていく。育成プログラムの普及には、協力施設・関連団体との連携が必要不可欠のため、連携先を探していくことが、今後の課題である。
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