研究課題/領域番号 |
15K11826
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研究機関 | 帝京科学大学 |
研究代表者 |
久保 美紀 帝京科学大学, 医療科学部, 講師 (00458960)
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研究分担者 |
星 旦二 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 教授 (00190190)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 慢性心疾患 / 在宅高齢者 / 療養支援体制 / 療養支援プログラム |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、慢性心疾患を有する高齢者が病気と共存し、趣味・生きがいを持ち、社会から孤立することなく、住み慣れた自宅で生活するための人的支援環境の構築を含む療養支援プログラムを開発することである。2015年度は、研究ステップ1として、わが国において、慢性心疾患の在宅療養を支援する看護師、医師から療養の実情および課題について情報収集をおこなうこと。そして、わが国と同様の皆保険制度を誇り、欧米諸国の中では高齢化率が高く、なおかつ、在宅医療において先駆的な取り組みがなされているドイツの介護施設の視察および、在宅医療に携わる医師、看護師から情報収集をおこない、わが国およびドイツの実情と課題を把握し、今後の療養支援プログラム作成に活かすことである。 1.わが国の現状:慢性心疾患の在宅医療支援をおこなっている医師・看護師より、情報収集をおこなった結果、重症心不全であっても、最期まで自宅で生活することが可能であること、また、単身高齢者が増加しているものの、支援体制を整えることにより、最期まで自宅で療養生活を送ることが可能であることが、把握できた。一方で、患者を取り巻く、家族もしくは、家族に変わる支援体制、医療者サイドの支援体制の構築は、重要な鍵となることが再認された。 2.ドイツの現状:介護施設(ディアコニー、カリタス)の看護師・介護職員と、ドイツの看護大学において、在宅看護を教授している教員および大学院生より、情報収集をおこなった結果、ドイツにおいても、わが国と同様に、介護施設への入所希望者が多く、入所待ちリストを作成していることや、介護施設の種類によっては、個人の経済的負担が大きいことから、本人の希望する介護施設へ必ずしも入所できないこと、更には、病気をもちながら最期まで自宅で生活するためには、家族以外の支援体制を構築することが重要であることが把握できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度(2015年度)は、当初の予定どおり、ドイツへ現地視察に訪問し、ドイツにおける在宅療養の実態を把握することができた。有益であったことの一つとして、申請当初は予定していなかったが、現地視察を企画する段階で、視察調整が整ったことから、ドイツの看護大学において在宅看護に関わる教員および、学生からの情報収集を行うことができたことは、ドイツの在宅療養の実情を多面的に把握する上で、参考となる情報を得ることができた。よって、今年の研究成果は、今後の研究を推進する上で、有用であると考える。
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今後の研究の推進方策 |
2015年度の情報収集結果を踏まえて、先行研究で収集したデータの再分析をおこない、量的視点からの考察を深める。また、2015年度の情報収集を念頭においた文献レビューと、在宅看護師、医師との共同により療養支援プログラムの作成をおこなう。
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次年度使用額が生じた理由 |
2015年度の研究実施においては、ドイツとわが国における医療・介護専門家を対象とした聞き取り調査を実施したものの、横断調査の準備(アンケート用紙の作成)には、至っていないこと。よって、調査票の作成に関連した支出が発生していないことから、当初予定していた支出額を下回った。
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次年度使用額の使用計画 |
2016年度は、横断調査を実施することから、調査票の作成、印刷、調査票の整理等の消耗品費、人件費の発生が予想される。 また、療養支援プログラムの作成においては、臨床現場の看護師・医師から情報収集を行うことや、専門知識の提供を受けることから、謝金が発生することが予測される。
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