在宅療養生活を支援している多くの専門職間の相互理解に基づく、在宅療養者の安定した生活継続のために有用な『多職種の観察の視点を活かした支援者連携モデル』構築を目的に、取り組んだ。 1年目は、在宅ケアの専門職への面接調査と質的分析により、現状把握を行った。在宅ケアの専門職として、訪問看護師、訪問療法士、訪問管理栄養士、訪問介護職を対象とし、「在宅ケアにおける専門職の観察の視点」を明らかにしている。各職種特有の観察の視点と、共通の視点があり、職種を超えて共通する視点は、病気をふまえた健康状態、いつもと違う感じ、日常生活であった。 2年目、3年目は、現状把握をふまえ作成した質問紙を用い、デルファイ法による調査を実施した。設問内容は大項目として多職種連携の際の①対象の特徴による役割、②在宅医療支援における役割、③日常生活援助における役割、④支援の調整の合計165項目とした。自身の職種の役割認識と、他職種の役割認識について、役割を担っているか否かに回答を得た。第1回の調査では同意率60%未満の項目を削除し、第2回の同意率は80%とし、分析したところ、訪問看護師は141項目、訪問療法士は54項目、訪問管理栄養士は10項目、訪問介護職は24項目が抽出された。役割認識に訪問介護職のみ差がある項目がなかった。 4年目は、支援者連携モデルを構築し、研究成果のリーフレットを用い報告会を実施し、多職種の観察の視点を活かした支援について、アンケート調査を行った。各専門性を活かした観察の視点と、共通する視点を持ち、補い合うことで円滑な連携ができると考えられた。しかし役割認識に有意差がみられた内容については、理解が進むことが円滑な連携につながるため、各職種の役割の理解が必要と考えられた。 今後は、対象職種を拡大し支援者連携モデルを構築するとともに、互いの役割認識が促進されるシステムを作ることである。
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