本研究の目的は、レジリアンスを基盤とした抑うつ障害群患者を対象とした「精神看護レジリアンスモデル」を開発することである。レジリアンスモデルは、すべての人にあるレジリアンス(回復力)を、ミルトン・エリクソンがレジリアンスが提唱する6ストラテジー「注意のそらし」「分割」「前進」「暗示」「リオリエンテーション」「利用」を中核に作成を行った。活水女子大学研究倫理審査の承認を受け、倫理的配慮を行いながら、臨床にて認知行動療法を実施している看護師や教育者に対しインタビューを行い質的に検討した。その結果、面接者(看護者)として必要な関わりの基本姿勢や必要な教育内容、グループダイナミクスの効果とセラピーの実際、精神科医師との連携の実際など運用に関わる知見を得た。これらの内容と、看護面接の訓練方法として、ヘルピングスキルや弁証的行動療法における承認訓練なども考慮しプログラムの洗練化を行った。 開発の途中で、ミルトン・エリクソン6ストラテジーのうち、「分割」において、行動の修正に必要な要素として、対象者の好みや気分に合わせたコーピングを探索し、アロマやマインドフルネスなどもプログラムの中に取り入れることになるなど当初の計画より対象者が望む内容を追加することになった。 今後の計画として、開発したモデルを看護基礎教育のなかに部分的に取り入れ、学生自身のメンタルヘルス対策と身近な家族への支援、臨床実習での活用へとつなげたい。また、地域のメンタルヘルスに関わる職種の方を対象に、公開講座等をおこない、モデルの周知と、活用によるデータの蓄積を行い、更なるモデルの洗練化につとめたい。
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