研究課題
本研究は、在宅療養者と家族介護者のQOLに影響するレジリエンスの解明と在宅療養支援モデルの構築を目的に2つの調査を行った。調査1では在宅療養者および家族介護者のレジリエンス尺度を作成し、信頼性、妥当性の検討をすることを目的に、訪問看護利用者および外来通院者、家族介護者を対象に質問紙調査を実施した。因子分析後に、Cronbachのα係数の算出、I-T相関分析、外的基準との相関分析など、レジリエンス尺度の妥当性、信頼性に関する分析を行った。在宅療養者のレジリエンス尺度は『療養者の周囲からの支援』、『療養者の内面の強み』、『療養者の対処する力』の3因子15項目、家族介護者のレジリエンス尺度は『介護者の対処する力』、『介護者の内面の強み』、『介護者の周囲からの支援』の3因子15項目で構成された。在宅療養者および家族介護者のレジリエンス尺度は一定の信頼性、妥当性が確認された。調査2では訪問看護の利用者および家族護者のQOLに影響するレジリエンス、介護負担感、属性要因を明らかにすることを目的とし、利用者、家族介護者を対象に質問紙調査を実施した。利用者にはレジリエンス尺度、SF-8、介護者にはレジリエンス尺度、SF-8、BIC-11の尺度を使用した。結果、利用者の身体的サマリースコア(PCS)に影響のある要因として要介護度、精神的サマリースコア(MCS)に影響のある要因としてレジリエンスの『内面の強み』が抽出された。介護者のPCSに影響のある要因として『身体的負担感』、MCSに影響のある要因としてレジリエンスの『内面の強み』が抽出された。以上から、利用者、介護者ともの精神的健康のQOLを高めるためには、利用者および介護者の『内面の強み』を強化する支援、介護者の身体的健康のQOLを高めるには、『身体的負担感』を軽減する支援の構築が必要であると考えられた。