研究課題/領域番号 |
15K11834
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研究機関 | 敦賀市立看護大学 |
研究代表者 |
家根 明子 敦賀市立看護大学, 看護学部, 准教授 (70413193)
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研究分担者 |
北村 隆子 敦賀市立看護大学, 看護学部, 教授 (10182841)
小野塚 元子 京都橘大学, 看護学部, 講師 (30449508)
高橋 晶 奈良学園大学, 保健医療学部, 助教 (40619780) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 初老期認知症 / ビデオ・エスノグラフィー / 意思決定 / 相互作用 / 専門職 |
研究実績の概要 |
2015年度(平成27年度)は研究初年度であり,内外の文献を収集し,3回の研究会において検討を行った.第1回研究会では,意思決定に関して初老期認知症者とその家族が抱える課題,認知症者への支援を行う専門職が抱える課題を明らかにすることを目的に収集した文献を検討した.第2回研究会では,エスノメソドロジー,エスノグラフィおよび会話分析の手法を用いた医療現場の研究に着目し,樫田らによる『在宅療養者と介護者の相互行為分析』や『医療化する家庭,家庭化する医療』を中心に,4つの文献について担当を決めて報告を行い,方法としてのビデオ・エスノグラフィの有効性について,一定の見通しを得ることができた. 第3回研究会では,ビデオ・エスノグラフィ研究において代表的な研究者を講師に迎え,ジョン・ヘリテッジらの『診療場面のコミュニケーション』の中からいくつかの章を分担して報告し,知識を深めた.そして,認知症者と支援者のやりとりを録画したデータを用いてセッションを行い,セッションの進め方,分析方法と留意事項,研究対象者への倫理的配慮について助言を得ることで,研究推進の土台を固めた. また,以下への参加により知見を深めた.(1)国際アルツハイマー病学会(4月,オーストラリア),(2)日本認知症ケア学会(5月,北海道),(3)日本老年看護学会(6月,横浜),(4)日本看護福祉学会(7月,北九州),(5)「認知症カフェ」と「若年認知者のつどい」にサポーターとして継続的に参加し,意思決定を中心に当事者に対して家族が抱える課題を把握することに努めた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度は,3回開催した研究会において,(1)分析課題の明確化とその意義の確認,(2)先行研究の検討による現在の研究水準の確認,(3)分析方法の検討を行なった.この結果,研究遂行に必要な3つの知見を得ることができた.初老期認知症者と家族への意思決定の支援は,重要な課題であるに も関わらず,先行研究において療養者の意思決定過程の具体的な様相は十分に明らかになっていないこと,本研究で明らかにしようとしているビデオ・エスノグラフィを用いての意思決定支援は,初老期認知症者のみではなく,難病をはじめ,精神疾患や難治性の慢性疾患を有する言語障害の著しい療養者への看護活動にも応用できること,社会的意義が大きく,実証的研究の方法としてビデオ・エスノグラフィは有効であること,の3点である. 一方,当初の計画では,初年度に第1回目のテータを得て分析を行う予定であったが,研究者の体調等により次年度に持ち越すこととなり,若干の停滞を余儀なくされた.ただし,研究参加者はもともと研究者らと良好な関係にあることから,調査対象の基本的な了解も得ており,次年度以降は速やかに研究を遂行できると考えている.
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今後の研究の推進方策 |
今年度は,研究者の体調等により若干の停滞を余儀なくされた.このため,次年度から新たにビデオ・エスノグラフィや会話分析に精通した研究分担者を迎えることで,今年度の遅れを取り戻す予定である.また,研究参加者はもともと研究代表者や分担者らと良好な関係にあることから,調査対象の基本的な了解も得られており,次年度以降は速やかに研究を遂行できると考えている. このため,次年度前半にて研究参加者と連絡を取り,データ収集の時間を設定して調査を遂行することにしている.さらに,調査日時にできるかぎり近い日時で,データの検討と分析を行うための研究会を設定することを考えている.そして,研究会では,当該データの特徴を検討し,分析のための基本的な方針について合意を得た上で,具体的な分析について分担する.その後,各自の研究組織において分析を行い,再度研究会を設定してその成果の交換を図る.このサイクルでのデータ収集と分析を2ないし3回行うことが,今年の課題となる.実際の過程で生じた問題点に関しては,検討し,調査および分析の方法や研究会の持ち方などについて修正を加えながら,研究を遂行する.今年度は,それらの成果をまとめ,学会等で報告も行う予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画では,初年度に第1回目のビデオ撮影を行い,データセッションと分析・分析結果を踏まえた介入まで進める予定であった.しかし,研究者の体調等により次年度に予定を繰り下げたため,研究参加者への謝金やビデオ撮影・データセッションと介入に伴う諸費用を持ちこす結果となった.また,必要な文献が,各自の研究組織にて入手できるものが予想より多く,節約できたことも影響している.
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次年度使用額の使用計画 |
次年度前半にて研究参加者と連絡を取り,データ収集の時間を設定して調査を遂行することにしている.さらに,調査日時にできるかぎり近い日時で,データの検討と分析を行うための研究会を設定することを考えている.そして,研究会では,当該データの特徴を検討し,分析のための基本的な方針について合意を得た上で,具体的な分析について分担する.その後,各自の研究組織において分析を行い,再度研究会を設定してその成果の交換を図る.このサイクルでのデータ収集と分析を2ないし3回行うことが,今年の課題となる.実際の過程で生じた問題点に関しては,検討し,調査および分析の方法や研究会の持ち方などについて修正を加えながら,研究を遂行する.
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