研究課題/領域番号 |
15K11834
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研究機関 | 敦賀市立看護大学 |
研究代表者 |
家根 明子 敦賀市立看護大学, 看護学部, 准教授 (70413193)
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研究分担者 |
北村 隆子 敦賀市立看護大学, 看護学部, 教授 (10182841)
小野塚 元子 長野県看護大学, 看護学部, 専任講師 (30449508)
高橋 晶 奈良学園大学, 保健医療学部, 助教 (40619780) [辞退]
長瀬 雅子 順天堂大学, 医療看護学部, 先任准教授 (90338765)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | ビデオエスノグラフィ / 地域包括支援センター / 初期集中支援 / 初老期認知症 / 意思決定 |
研究実績の概要 |
すべての市町村は,2018年度までに認知症初期集中支援チームを設置し,認知症の早期診断・対応に向けた支援体制の構築しなければならなかった.このため,認知症施策の先進地域にある支援チーム員に焦点をあて,初老期認知症者への初期支援における各々の役割への認識をインタビューにより明らかにし,支援チーム育成における課題の示唆を得た.看護師は,対象とその家族の警戒心のようなバリアを緩やかに取り除き,社会福祉士は相手を尊重しながら問題の核心を明らかにするという役割を果たしていた.対象への訪問は2人1組で実施しており,この2人の協働により問題の核心に近づき,その問題を彼らと共有していた.また主任介護支援専門員は,医師と共に,この2人のチーム員によるケアの質が維持・向上されるような後方支援という役割を担っていた.支援チームが質の高いケアを行うには,個々の知識や技術だけではなく,その質を維持・向上させる仕組みも必要であることが示唆された.同時に,チームの関わりの特徴を明らかにすることを試みた.初期集中支援はタイムリーでスピーディな対応が求められるため,意識的に対象との信頼関係を築くことに力点を置き,2人の協働により抽出した対象の課題をチーム全体で共有することを通して,相手のペースにあわせながら支援していた.支援の中での困難事項の相談や課題解決の方法については,チーム員である専門医を交え検討し,対象に適した支援の方向性を導き出していた.認知症初期集中支援チームが機能するためには,当事者らに直接現場でかかわる専門職の支援技術の向上が必要である.そのためには,個々の知識や技術向上の努力だけでなく,現場の専門職を支える存在として認知症ケアに関心があり,質の高いケアが提供できる人材が必要であることが示唆された.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は,(1)先行研究の検討による研究水準の確認,(2)近畿及び甲信越地域の「認知症の人と家族の会」会員および認知症支援に携わる看護職との意見交換,(3)専門職へのインタビュー,(4)収集したインタビューデータの分析とまとめ, (5)4つの学会での報告と意見交換を行なった. また,5回開催した研究分担者との打合せにおいてはデータ取集と分析,成果報告の準備を進めた.研究協力者の事情により延期となっていたビデオ撮影は予定より遅れることとなったため,計画の修正と準備を入念に行うとともに,研究参加者の追加による対応をした.
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今後の研究の推進方策 |
次年度は,研究参加者の都合により予定が大きく延びていたビデオデータ収集と分析を行う.調整したスケジュールに従い,年度前半に,データ収集の時間を設定して遂行することにしている.それにできるかぎり近い日時で,データの検討と分析を行い,当該データにおける意思疎通や意思決定の特徴を見いだす.それらの成果をまとめ,今年度も引き続き学会等で報告し,意見交換を行う.その上で論文にまとめる予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由:研究参加者の事情によりデータ収集を次年度に予定を繰り下げたため,ビデオ撮影・データセッションと介入に伴う諸費用や海外での学会発表を持ち超すこととなり,助成金を使用できなかった. 次年度使用計画:研究参加者の都合により予定が延びていたビデオデータ収集と分析を行うために,調整したスケジュールに従い,年度前半に,データ収集の時間を設定して遂行する.さらに並行して研究協力者と意見交換を進めることで効率も考慮しながら研究を推進する. また,最終年度にまとめるにあたり,学会での成果報告と共に,会場での情報収集や意見交換を行う.
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