研究課題/領域番号 |
15K11835
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研究機関 | 新見公立大学 |
研究代表者 |
山下 亜矢子 新見公立大学, 看護学部, 講師(移行) (90614363)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | アルコール使用障害 / 女性 / リカバリー / レジリエンス / 性差医療 / ピアサポート / セルフヘルプグループ |
研究実績の概要 |
本研究課題の目的は,日本における女性アルコール依存症患者の回復支援システム構築を目指し,性差を考慮したレジリエンス促進支援モデルを確立することである。平成27年度は,アルコール依存症患者のリカバリーに関与するレジリエンス促進要因を明らかにすることを目的とし,無記名自記式質問紙調査を実施した。調査の結果,資質的レジリエンスと獲得的レジリエンスは互いに高めあう関係が示された。レジリンスが高いものの特徴として再飲酒リスクが低く,自己開示が深化することが明らかとなった。アルコール依存症患者のレジリエンスを促進する有効な手段として,自助グループ参加やピアサポートによる安心できる対人関係構築と自己開示の深化に向けた環境調整の必要性が示唆された。平成28年度はアルコール依存症患者36人の質的データを解析し,主観的なリカバリー体験の様相を明らかにした。データ分析の結果,ポジティブな感覚,ソーシャルスキルの向上,セルフモニタリングの深化,主体的な治療参画,素面を過ごせる実感,リカバリー体験の共有化,家族の精神的健康の改善が抽出された。国内外の文献レビューより依存症に関連するレジリエンス向上に有効な関わりとして,幼少時からの介入や家族介入の必要性などが示唆された。今後はさらにデータ収集と分析を進めるとともに国内外の文献レビュー,自助グループ参加によるフィールドワークを行い,性差を考慮したアルコール依存症患者のリカバリーに関与するレジリエンス促進要因を明らかにする予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
第1回目のアンケート調査のデータ分析をほぼ終了し,アルコール依存症患者のレジリエンス促進要因について量的および質的な側面より新たな知見を得ることができた。また,本結果は論文および国際学会にて研究成果を公表できた。女性アルコール依存症患者を対象としたデータ蓄積が課題にあるため「やや遅れている」と評価される。
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今後の研究の推進方策 |
今後は性差を考慮したアルコール依存症のリカバリーに関連するレジリエンス促進要因の解明に向け,アルコール依存症患者および依存症治療機関スタッフよりデータ収集を行う。また,断酒会などの自助グループ参加によるフィールドワークなどを継続し,患者および家族,スタッフの意見を反映した回復支援モデルの確立を目指す。平成29年度は更に研究成果公表に向けた学会発表と論文作成を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初の計画よりデータ収集が遅れていることなどから,謝金が発生しなかった。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度の使用計画として,女性アルコール依存症患者を対象とした質問紙調査や自助グループスタッフや依存症治療機関スタッフからのインタビュー調査によるデータ蓄積に関する支出を予定している。また,スーパーバイザーによる専門知識の提供や教育資材に関する支出を予定している。研究成果発表として論文作成時の翻訳料,学会参加費に関する支出を予定している。
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