研究課題/領域番号 |
15K11838
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研究機関 | 日本赤十字九州国際看護大学 |
研究代表者 |
高橋 清美 日本赤十字九州国際看護大学, 看護学部, 教授 (50364170)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 精神障がい者 / 摂食嚥下機能支援 / 看護師 / 教材開発 |
研究実績の概要 |
H27年度は、入院精神障がい患者と、患者が所属する施設看護師から得られた調査結果をもとに、患者一人一人の生活機能がどのように摂食嚥下機能の変調に影響を与えるのかを事例で検討するための基礎資料を作成することが大きな狙いである。 そこで、患者と看護師に対する調査項目を精査し、実現可能な調査内容となるように、計2回の協議会を研究協力者とともに開催した。精神障がい者の摂食嚥下機能支援に対し、看護側の実践状況や学習ニーズを把握するために、使用許諾手続きを踏まえたうえで、学習ニードアセスメントツール-臨床看護師用-、教育ニードアセスメントツール-臨床看護師用-を引用しアンケートを作成した。 患者と看護師への調査を実施するに当たり、研究代表者所属の倫理審査委員会にて承認を得た。その後、研究協力を募り、2施設から協力が得られた。 1つの施設では、H28年1月~3月に研究協力者が主となって患者調査を実施した。さらに同時期に、看護師へのアンケート調査票の配布を行い、郵送で回答を得た対象者を研究協力者としてアンケート分析の準備を進めている。さらに、患者の摂食嚥下機能の変調に関連することが予測される因子(CP換算値、認知機能、社会機能、身体機能、口腔構音機能、摂食動作、自覚症状)を10名の患者から協力を得て調査を実施した。 もう1つの施設は、H28年度5月~6月に調査を実施する予定である。なお、学会発表準備としては、日本・摂食嚥下リハビリテーション学会に演題登録する準備を行っている。窒息を繰り返す統合失調症患者の認知機能、社会機能、口腔構音機能、嚥下機能、身体機能を調査した結果から得られた知見を報告する予定である。さらに精神障がい者に特徴的といわれる盗食がある患者に影響すると考えられる認知機能や心身機能に関する報告も行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画上では、2015年10月頃に倫理審査で承認を得る予定であったが、資料準備の不足があったことより12月に承認が得られた。その後、施設で説明会を行い倫理的配慮に対する施設からの承認を得たのちに患者調査を実施しているため、当初の予定より3か月程度遅れている状況である。 本来ならば、H27年度中に施設調査を終了するはずだったが、H28年度6月の調査終了を目指している。そのため、当初は3施設で計20名の患者調査をする予定だったが、8月28日の協議会に間に合わせるために、2施設で20人の研究協力を得るようにした。
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今後の研究の推進方策 |
主研究者1名のみでは、H28年度に開催する事例協議会の準備が進まないため、今後の推進方策として、協議会準備や看護師向け教材開発に対する様々な提案を行ってもらう研究分担者に参画してもらう必要性がある。H29年度には協力施設に出向いて、院内勉強会の枠組みで摂食嚥下に関する研修会を行う予定であるため、その準備も含めて、歯科医学研究者にも分担者として参画してもらう。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究の進捗が3か月程度遅れているため、次年度に繰り越す予定である。研究協力施設に訪問し、データの回収を行うための会議費、旅費等が含まれている
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次年度使用額の使用計画 |
8月28日に専門家を招聘し、患者事例に対する協議会を開催するためにデータを分析する必要がある。分析や情報を集約するために研究分担者をH28年より新たに加えて、協力してもらう。そのために、協議会運営に関する交通費や宿泊費、資料整理等の雑費が必要であるため、これに充てる。さらに、3か月程度、調査が遅延しているため、主研究者がH28年の6月頃に研究協力施設に訪問し、患者データを回収するための会議費、旅費、宿泊費等に充てる予定である。
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