研究課題/領域番号 |
15K11841
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
川添 郁夫 弘前大学, 保健学研究科, 講師 (80624741)
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研究分担者 |
則包 和也 弘前大学, 保健学研究科, 講師 (00342345)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 統合失調症者家族 / 困難 / PAC分析 / カードゲーム |
研究実績の概要 |
本課題は、統合失調症者を地域で支援する家族の困難と対処について、インタビュー調査によるPAC分析を用いて明らかにすること、および、調査結果を基にカードゲームを作成し、家族に対する新たな支援法の提案を目的としている。 平成27年度においては、多くの統合失調症者家族と出会う機会を設けた。精神障がい者家族会役員会への参加や家族会講演会での講師活動などを通して家族との信頼関係を構築した。平成28年度には、統合失調症者家族15名に対するインタビュー調査を実施し、カードゲーム作成の基本データとなる調査を実施した。インタビュー調査では、信頼関係が確立されていたことから貴重なデータを収集することができた。PAC分析では、家族が統合失調症者への支援において日常的に意識される思いの他に、普段は意識されにくい前意識や無意識領域の思いが表出された。インタビューに伴う外在化と客観視が、対象となった統合失調症者家族へのカウンセリング効果や感情表出の高い家族が内面を吐露する語りの中から徐々に適度な感情表出に変化することが伺われるなどの新たな発見が認められた。調査実施に伴って得られた知見に関して、第36回日本社会精神医学会、第12回統合失調症学会において発表している。インタビュー調査の対象者数は当初の50名に対して15名のみであるが、濃密で貴重なインタビュー内容であった。現在は、逐語録化し分析を進めながら、カードゲームに使用する質問内容の作成を行っている。 平成29年度の上半期中にカードゲームを完成し、下半期には統合失調症者家族を対象としてカードゲームを実践し効果判定を行う。効果については随時発表を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度においては家族との信頼関係構築を優先しデータ収集が遅れたものの、平成28年度には統合失調症者家族15名に対してインタビュー調査を実施する事ができた。 インタビュー調査の対象者数は当初の50名より少ない15名であるが、濃密なインタビュー内容であったことから、逐語録化し分析とカードゲームの作成を並行して進めている。
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今後の研究の推進方策 |
PAC分析によって、家族が抱えている前意識や無意識領域の深い思いが抽出され、貴重なデータとすることができた。 インタビュー調査の対象者数は15名であるが、濃密なインタビュー内容であり、逐語録化し分析を進めており、並行してカードゲームの作成を行っている。 平成29年度の上半期には、ゲームを完成できる見込みである。下半期にはインタビュー調査を含めた統合失調症者家族50名程度の家族にカードゲームを試行し、効果判定を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成29年度には、本課題で作成したカードゲームを統合失調症者家族に実施することから、会場費や謝金、研究者の旅費等への支出が見込まれるため、研究費を繰り越すこととした。
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次年度使用額の使用計画 |
平成29年度の下半期に、統合失調症者家族を対象としてカードゲームを用いた支援を複数回実施するため、会場費や研究者の旅費等へ使用する。 カードゲームへの協力者に対して、調査協力への謝金と交通費を支給する。
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