研究課題/領域番号 |
15K11843
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
石橋 みゆき 千葉大学, 看護学研究科, 准教授 (40375853)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 退院支援 / 療養の場の移行支援 / 看護技術の体系化 / 地域包括ケア |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、将来的に日本全国で展開される地域包括ケアシステムの場において活用できる療養の場の移行支援(Transitional Care)の構築を目指し、退院支援に係る看護技術を体系化することである。本研究は、第一段階「退院支援に係る看護技術の再構成」、第二段階「退院支援に係る看護技術の体系化」、第三段階「日本における療養の場の移行支援に係る看護技術体系構築の可能性検証」の3つの段階で構成されている。平成27年度は、当初の計画通り、第一段階ならびに第二段階の準備を実施した。 第一段階の成果としては、退院支援の組織的取組に係る内容を分析し、退院支援システム構築のための看護師の取組の様相を明らかとした。この研究成果は、第19回日本看護管理学会学術集会ならびに第19回東アジア看護学研究者フォーラム(EAFONS)にて示説発表した。さらに、個別事例への支援技術として明らかとした先行研究(石橋みゆき他, 2012)の内容と組織的取組の内容を質的に統合することにより、第一段階の達成目標である退院支援に係る看護技術の再構成を試みた。退院支援に係る看護技術は、「今後の病状の見通しから退院準備に要する期間を予測し最適な時間で支援目標を達成する為に優先順位を判断する技術」や「地域を見据えて自施設の果たす役割を分析し、その中での自分の立ち位置、強みを認識して役割や責任を明確化し、地域連携を実践する技術」等の計18の技術に再構成された。この成果は、平成27年9月に開催された千葉看護学会第21回学術集会にて口演発表した。 平成27年度終盤には、平成28年度に実施する第二段階の準備として、インタビュー調査計画を立案した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度前半は、研究の第一段階として、先行研究で明らかとした個別事例への退院支援技術(先行研究Ⅰ:石橋2011,2012)と退院支援システム構築の方略(先行研究Ⅱ:石橋2015)の内容を、研究者と実践者混合の研究チームで妥当性を確認しながら質的に統合し、「退院支援に係る看護技術(案)」として18の技術に再構成した。 先行研究の内容を質的に統合する過程においては、分析結果の信頼性の確保、妥当性の向上の観点から、連携研究者ならびに研究協力者から成る研究推進チームを編成し、研究会議を計4回実施した。なお、連携研究者は、退院支援に関連する研究・教育実績のある研究者であり、連携研究者は現在病院等において退院支援を実践する者である。研究会議では、再構成した看護技術ついてその解釈を研究推進チーム全員で内容を吟味した。また、統合した退院支援に係る看護技術の試案を、学術集会にて口演発表し、参加者の指摘を踏まえ、退院支援に係る看護技術の内容や表現を精錬した。 平成27年度後半には、第二段階の準備として、研究者らが立脚する立場をより一層明確にし、研究推進チームメンバー全員が退院支援に係る看護技術について共通認識できるよう、「看護技術」「退院支援」について、再度用語の確認を実施し、技術の体系化に向けた半構成インタビュー調査の実施計画を立案した。当初の計画では、2月ごろには対象者の選定と募集を行うこととしていたが、調査計画立案と倫理審査受審が1か月程度遅れたため、対象者の選定基準について研究推進チームメンバーで検討し合意を得たところで終了した。 このため、平成28年度早々には対象者を選定し、順次研究協力依頼をする予定としている。また、インタビュー調査を実施する研究協力者を2名追加し、調査実施体制の強化を図った。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は第二段階として退院支援に係る看護技術の体系化に取り組む。まず、年度前半より、同一組織において退院支援を協働して行う複数の看護師を対象としたインタビュー調査を実施する。退院支援は病院の役割・機能、病院を利用する患者の住む地域特性によって異なる看護技術を要すると考え、対象施設の選定にあたっては地域特性や病院の機能について偏りがないように調整する。 平成28年5月-12月にかけて選定した病院の研究協力の承諾を得られた看護師らを対象に、連携研究者、研究協力者とで協働し半構成インタビュー(データ収集)を実施する。インタビューにて語られた内容は、逐語録を作成し、退院支援に係る看護技術の体系化に向けて質的帰納的に分析するためのデータとする。 データ収集と並行し、平成28年度後半より分析を開始する。10月-11月にかけて研究推進チーム会議を開催し、インタビューの進捗状況と収集したデータの確認、分析の方向性等について検討する。データ収集分析は、まず組織単位に個別分析を実施する。得られたデータから退院支援に係る看護技術を抽出し、技術のまとまりの連関を見出す。分析の信頼性と妥当性を確保するため、質的研究方法に精通した連携研究者及び退院調整の実践経験のある研究協力者を交えた定期的な研究推進チーム会議を28年度内に4回程度開催する。 計画では20か所程度の病院をインタビュー対象とすることを想定しているが、分析結果を見ながらデータの飽和が確認できるまで新たな施設を追加してインタビューを実施することとする。最終的には、組織単位の分析内容を、抽象度を上げながら、類似性に基づき統合しつつ、統合した技術のまとまりの連関を検討し、退院支援に係る看護技術体系を見出す。 平成29年度は、第三段階として専門家会議を2回程度開催し、会議での意見をもとに療養の場の移行支援に係る看護技術体系の構築可能性を検証する。
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