研究実績の概要 |
本研究の目的は、将来的に日本における療養の場の移行支援(Transitional Care)の構築を目指し、退院支援に係る看護技術を体系化することである。本研究は三段階構成で3年間で実施した。第一段階では、先行研究(石橋2011,2012)で明らかとした個別退院支援事例に係る8つの技術と組織的取組に係る内容を研究者と実践者混合の研究チームで妥当性を確認しながら内容を質的に統合し、「退院支援に係る看護技術」として再構成した。第二段階では、再構成した看護技術の枠組みを基に、同一組織で退院支援を共に担う看護師ら48名(計26施設)へ半構成インタビューを実施し、内容を質的帰納的に分析し退院支援に係る看護技術の体系化案を作成した。第三段階は、体系化した看護技術案について「療養の場の移行支援に係る看護技術」として地域包括ケアシステムの場において適応可能かどうか検証するため、専門家会議を開催し広く意見を聴取し、退院支援に係る看護技術の体系化を試みた。 退院支援に係る看護技術は、個への支援(ミクロ)から地域連携を意図した支援(マクロ)に向かって拡大する方向で4段階で体系化が可能であると考えられた。1段階目は、入院後早期に個別の状態に応じた退院計画を立案し病状や意向の変化に合わせて柔軟に計画を見直す等7つの技術を含む#0本人のセルフケア能力を見極め高める支援、2段階目は家族全体の退院に向けた機動力を総合的に判断し家族全体の力をアセスメントする等5つの技術を含む#1家族への支援と家族との協働、3段階目は療養者の予測される状態・意向を中心とした療養生活継続のための社会資源調達技術等6つを含む#2医療福祉専門職との連携・協働、4段階目は自施設の方針や地域の状況に照らして自施設の状況を分析し退院支援体制について評価・改善を重ねる等4技術を含む#3退院支援体制発展に向けた地域連携の実践とした。
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