研究課題/領域番号 |
15K11846
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
田中 美央 新潟大学, 医歯学系, 助教 (00405052)
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研究分担者 |
宮坂 道夫 新潟大学, 医歯学系, 教授 (30282619)
久田 満 上智大学, 総合人間科学部, 教授 (50211503)
住吉 智子 新潟大学, 医歯学系, 教授 (50293238)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 重度障がい児 / 在宅 / 親 / レジリエンス / 育児支援 / 医療的ケア |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、在宅で暮らす重度障害児の育児支援プログラムの開発を行うことである。 本年は、これまでの研究から導き出された概念枠組みのプロトタイプについて検証を行った後、障がい児者の親の状況を把握し、必要な支援を多職種で共有するためのレジリエンス尺度開発に取り組んだ。これは、プログラム介入前後の障害児家族の生活へもたらす影響を比較検討するための評価ツールとして使用する。 先行研究の質的データと既存文献から「レジリエンス」に関する内容を演繹的に抽出し、親のレジリエンスの枠組みと設問を作成した。尺度項目を精選し、37項目からなる尺度原案を作成した。調査は、無記名自記式質問票を用いて行った。対象者は、関東甲信越地域に住む小学生以上の在宅障がい児者の親477名で、郵送法にて229部(回収率48.0%)が回収された。そのうち重度障がい児・者の親のレジリエンス尺度のすべての項目に回答した193名のデータを分析の対象とした。その結果、[理解と気づき][子ども自身からのエンパワーメント][専門職の活用][子ども以外の興味関心][感情調整][子どもと家族の生活の安定][援助要請]の 7因子28項目からなる、重度障がい児・者の親のレジリエンス尺度を開発した。また、本尺度は信頼性および妥当性を有していることが示された。次年度以降のプログラム評価に用いるための準備を進めている。 また、モデル事例2例、NICU1施設の管理者および退院支援担当者、認定看護師からのヒアリングを実施した。この内容を受け、一昨年度実施したレスパイト施設の看護職への質的調査内容を反映しながら、次年度のプログラムへの展開を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初目標としていた【目的1】重度障がい児を育てる親の育児支援評価尺度の作成を終え、本研究のプログラム評価ツールとして信頼性妥当性を検証することができた。また、【目的2】でのプログラム立案においては、モデル事例と専門職からのヒアリングを終え、プログラムの具体的内容の検討を進めている。プログラム実施のため、研究分担者として障がい児領域の専門看護師が本研究プログラムに新たに加わり、今後実践的内容を検討していく準備が整った。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、【目的1】について、重度障がい児を育てる親の育児支援評価尺度から、親のQOLと関連要因を明らかにし、先行研究を踏まえながら介入の視点を明らかにしていく。また、【目的2】のプログラム立案においては、ファミリーセンタードケアの理念をもとに、プログラム展開を進めていく。専門職および非専門職の教育支援ニーズを明らかにし、具体的プログラム内容を明らかにし、教育支援のための介入を実施していく計画である。
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次年度使用額が生じた理由 |
評価のための調査データ整理として、謝金を計上していたが,今年度は大規模な入力を行う機会がなかったため、資料整理補助の謝金分が計上されなかった。また、プログラム展開のためのツールについて、ヒアリングの結果検討中であるため物品費として計上されなかった。
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