研究実績の概要 |
市町村行政の保健から福祉部門に配置された保健師による、障害者及び児童の福祉、介護保険等の利用者とその家族に対する、保健師の家庭訪問等の個別支援の特質を検討した。調査項目は、保健師の意図と行為である。行政の福祉部門に配置された熟練保健師8名(うち今年度は母子、地域包括ケア、障害担当各1名)による家庭訪問も含む個別支援過程における保健師の意図と行為を調べた。 その結果、保健師の意図499件、保健師の行為2,781件を記述し、内容整理・分析し、20の支援内容項目に統合した。すなわち、1)当事者・家族と関係をつくり支援者として受け入れてもらう、2)当事者が安全に家庭に戻り、安心・自立した生活のために環境整備する、3)親・兄弟・親戚または近隣住民が、当事者の支援者になりうるか判断する、4)福祉担当課の働きかけで、兄弟・親戚との関係性が希薄になるのを避ける、5)当事者との関わり経緯・家族との関係性・プライドに配慮する、6)当事者の能力を見出し日常生活の継続や就労をねらう、7)当事者が生活拠点を決められるようにする、8)支援事例を通して、保健分野担当保健師と連携する、9)日常生活の継続・就労支援で関係職種と役割分担する、等である。 これら項目の社会的妥当性を評価するため、三件法と自由記述の質問紙を全国市役所791の福祉担当課保健師宛に2部ずつ郵送し、実践者の意見を把握した。538人(35.1%)の回答が得られ、各項目で「常に意図している」「意図したことがある」の平均回答者数(割合)は521.1人(96.9%)、回答者96%未満が4項目、7項目で有意差が認められた(p<0.05)。「非常に重要と思う」「重要と思う」の平均回答者数(割合)は524.7人(97.5%)、回答者97%未満が4項目、8項目に有意差が認められた(p<0.05)。20の支援内容項目の重要性は概ね支持されたことを確認した。
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