認知症高齢者支援に関する研究として、3つの調査研究に取り組んだ。計画時点では、認知症サポーター養成講座後の活動支援に関する研究であったが、市町村の受け入れ体制が不十分であること、新型コロナウイルス感染症蔓延により、高齢者活動が中止または、延期になっていたことから、研究計画を変更して実施した。 看護系大学学生の認知症サポーター養成講座の受講状況と高齢者イメージに関する調査、認知症一次予防教室にかかわり看護職の役割、認知症カフェ運営者の困難と継続のための支援に関する研究に取り組んだ。 看護系大学学生189名に無記名の質問紙調査を実施した。その結果、認知症に関心のある看護系大学の学生は78.5%いるが、周囲に認知症サポーター養成講座の受講者がいるものは8.0%にとどまっている。実習も含め認知症高齢者への対応に戸惑ったことがあるものは63.2%であった。また認知症高齢者のイメージは「怖い」「大声でわめく」など否定的なものであった。 認知症カフェ運営者の困難としては、認知症カフェを運営する2か所の運営者を対象にインタビュー調査を行った。【地域住民や本人家族の認知症や認知症カフェの理解】【住民主体の計画や運営】【地域の実情に合わせた運営の検討】【参加者人数の変動】【活動内容の工夫や準備】【ボランティアへのかかわり】【開催方法やコロナの状況での継続した開催】【参加者の多様な状況に合わせた対応】であった。 A町で認知症一次予防教室に参加者30名を対象に自己記入式質問紙調査を実施した。26名が継続的に参加していた。TDASの結果0‐6点17名、7-13点8名、14点以上1名であった。参加者自身は、自身の認知機能の低下を自覚していた。一次予防教室において継続的な支援を行っていくためには、参加者が教室に対し肯定的に受け止められるような働きかけが重要であることが示唆された。
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