平成27年度は「嚥下反射機能を改善させる運動強度の特定と嚥下反射と血中NOとの関連を明らかにすることを目的に取り組んだ。研究実績は以下の通りである。 1.20歳代男女47名(うち、コントロール群23名)にエルゴメータを用いて、50%V(dot)O2maxの有酸素運動を30分間実施し、運動前後、運動後30分の嚥下反射潜時を測定した。その結果、コントロール群の嚥下反射潜時は、3時点での変化を認めなかったが、運動群では運動直後の嚥下反射潜時が運動前より有意に短縮した。運動中の平均運動強度は5.79±0.71METs、平均心拍数は131.20±3.49回であった。以上より、運動は嚥下反射潜時の短縮効果が期待でき、20歳代の嚥下反射に効果的な運動強度は5~6METsである可能性が示唆された。 2. 運動による嚥下反射への影響を、有酸素運動による血流量の増加に伴う血中NOの増産に起因すると仮定し、血流量を運動開始前から継続して運動後30分までと、血中NOを1と同じ3時点で測定した。その結果、血流量、血中NOに関して運動群とコントロール群で運動の前後の差を明らかにすることはできなかった。
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