研究課題
平成29年度に引き続き、平成30年度の計画は、島しょ看護学の「学習指導書」完成に向け、島しょ看護実践者・研究者による専門家会議で意見を聴取し、全体的検討で精選することであった。機会を捉えて、研究者チームは繰り返し検討した。学習指導書は、目次として、はじめに、日本の島しょ、学士課程(島しょ看護学、島しょ看護学実習)、博士前期課程(島しょ看護特論Ⅰ、島しょ看護演習、島しょ看護実習、島しょ看護特別研究Ⅰ)、博士後期課程(島しょ看護特論Ⅱ、島しょ看護政策・管理、島しょ特別研究Ⅱ)で構成した。例えば、学士課程の島しょ看護学は2単位30時間とし、目標は、地理、歴史、文化から島の特徴を理解できる、島しょの特徴からもたらされる住民の暮らし方を理解できる、など5つの目標を設定した。教育項目は、島しょ論、島しょ地区における健康課題ならびに課題解決の方法、島しょ地区における看護上の課題並びに支援方法とした。そして、それぞれの教育内容は、島しょ論では、島の地理的特徴(隔絶性、狭小性、環海性)とその多様性、恵まれた美しい自然、環海性からくる閉鎖と開放の両義性により育まれる地域文化、島への強い一体感、保ちにくい匿名性・プライバシー、重層的な支え合いと個性的な生活のしづらさ、若者の島外流出と高齢者世帯の増加、島民の生業のマルチカルチャー性(百姓性)と障害者の居づらさ、島暮らしの満足感と安定感、島で暮らし続けるためのセルフケアの必要性の10項目にした。教育方法は、身近な島を題材にして、地理、歴史、文化、暮らし方、島の健康問題、島の看護上の課題に関するデータについて、順序性をもって示して解説する。講義終了後に、それらを踏まえて地域文化に影響を受ける島しょ看護に関するグループワークを行う。以上のようなスタイルで、すべての内容を冊子にした。