研究課題/領域番号 |
15K11863
|
研究機関 | 日本赤十字北海道看護大学 |
研究代表者 |
武澤 千尋 日本赤十字北海道看護大学, 看護学部, 准教授 (50410204)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 農業従事者 / 市町村保健師 / 職場環境改善 / 多職種 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、農業従事者に必要な職場環境改善の内容を明らかにすること、ならびに、農業従事者の職場環境改善に向けた市町村保健師のサポート方法を検討することである。 平成27年度は既存資料のレビューを行い、職場環境改善の実践報告はあるものの、看護職が職場環境改善活動をサポートした報告は少ないことを確認した。また、人口3000~5000人の自治体に勤務する保健師にインタビューを行い、市町村保健師は、特に、特定健康診査・特定保健指導の受検とフォローアップに熱意を注いでおり、農業従事者の生活習慣病予防のための行動変容を促す重要な機会と捉え、農場従事者の生活パターンや農閑期を踏まえた関わり方をするよう工夫していることがわかった。 平成28年度は、農業従事者にインタビューを実施して前年度の知見と統合する予定であったが、繁忙期で調整がつかないため、内容を変更した。北海道道北地域の酪農を基幹産業とする自治体において、市町村保健師と関連職種(管理栄養士、地域包括支援センター職員、役場で農林水産課を経験している職員)にインタビューを行った。その結果、市町村保健師は、健康診断結果の返却時の個別面接を重視して、長期的な目標をもち、行動変容をめざした関わりをしていた。これに加え、家族で農業労働に携わっているため、日中見守りが必要な高齢の家族のケアがままならないことや、冬の積雪により介護予防教室への参加が継続しにくいケースに対して、送迎のサービスを取り入れるなど、家族を含めて支援対象とする必要性があることを確認した。さらに、後継者不足や経営難により基幹産業が衰退することが心配されるため、ヘルパー制度による休暇の取得や就労場所の確保など、町づくりの必要性を認識していることが共通しており、多職種連携により農場従事者をサポートしていることを抽出した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
市町村保健師と関係職種へのインタビュー結果は、研究協力者と研究者とのディスカッションにより精錬するが、現在進行中である。また、平成28年度末に行った農業従事者へのインタビュー結果は現在分析中であるため、遅れが生じている。
|
今後の研究の推進方策 |
平成29年度は、すでに実施した調査内容の精錬と知見の統合を行い、農業従事者に必要な職場環境改善の構成内容と市町村保健師に求められる支援内容を検討する。分析の過程で、研究協力者に意見を求める予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
分析途中であるため、学会発表用の費用を使用しなかった。
|
次年度使用額の使用計画 |
研究者と研究協力者で行うディスカッションを実施するための交通費、または論文投稿用の費用、学会発表に関連する費用として使用する計画である。
|