本研究は、中小規模事業場における安心・安全で健康的な労働生活を創出するための、産業安全保健の新潮流である参加型アプローチを用いた職場環境改善プログラムの有効性を検証するものである。特に、縦断的介入研究を行うことで、人的・物的資源に制約のある中小規模事業場の特徴に合わせたプログラム開発の視点および労働災害・職業病リスク低減のためのプログラム運用指標について明らかにする。そのため、1)中小規模事業場で働く労働者の安全・健康支援のための参加型アプローチの共通原則と効果的な手法、その評価指標の探索的検討、2)参加型職場環境改善プログラムの開発と介入、有効性検討、3)参加型職場環境改善の取り組みを支援するファシリテーターの要件に関する研究を実施した。 研究最終年度の本年度は、これまでの研究知見をまとめ、参加型職場環境改善を支援するファシリテーターのネットワークを構築しつつ、継続的な取り組みを実現するためのファシリテーターの要件について明らかにした。参加型職場環境改善プログラムは、計画(Plan)→実施(Do)→評価(Check)→改善(Act)のPDCAサイクルをスパイラルアップしながら継続的に社内産業安全保健システムの一環として組み込まれることが重要である。これらの要件を組み入れたファシリテーター研修を実施し、トレーニングツールや手法を共有した。 本研究プロジェクトで開発した参加型職場環境改善プログラムに関するトレーニングツール、プログラム運用マニュアルについては、ウェブサイトでの公開を予定しており、無料でダウンロードができ、活用できるようにする予定である。
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