研究課題/領域番号 |
15K11871
|
研究機関 | 帝京科学大学 |
研究代表者 |
糸井 和佳 帝京科学大学, 医療科学部, 准教授 (30453658)
|
研究分担者 |
亀井 智子 聖路加国際大学, 大学院看護学研究科, 教授 (80238443)
定村 美紀子 帝京科学大学, 医療科学部, 准教授 (40321301)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
|
キーワード | 世代間交流 / 地域づくり / 生涯学習 / 水引 / 看護支援 |
研究実績の概要 |
本研究は、日本における世代間交流を用いたコミュニティ・ビルディングの概念を明らかにし、その評価法と確立とモデルとなる支援プログラムの開発を目的とするものである。 平成28年度はコミュニティのニーズに見合う世代間交流プログラムの立ち上げを検討した。コミュニティのニーズとして見出されたものは、子育て世代、とくに未就学児の母親の孤立ならびに独居高齢者の孤立であり、地域住民が持つ大学への期待として学生との交流により、自分たちも学びたいという希望があることが分かった。そのため、大学を拠点として、地域で支えあう交流の居場所づくりとして、水引を用いた講座型多世代交流プログラムを立ち上げ、試験運用を行った。本プログラムの目的は子育て中の母親と高齢者、学生が一緒に水引を学ぶことによって、楽しみや生きがい、仲間作りにつなげ、地域での連帯感を育むことである。 月1回の開催を行い、参加者は7名~17名で述べ54名となった。年齢は0歳児~3歳、看護学科の学生、子育て世代、中高年と多様であった。地域の高齢者からは、学生や若い人と交流してエネルギーをもらえる、子育て世代からは、子育てに追われていたが、子どもと一緒に参加でき、新しいことを学ぶのは久しぶりで嬉しかった、学生からは、地域住民が集える場作りの重要性を感じたなどの感想が得られ、自主的な参加の希望が出されるようになった。立ち上げのプロセスとして、水引講師やボランティアとのつながりをつくる、学生たちの結束を高める、近隣住民とのつながりをつくる、子育て世代へのアプローチとして保健センターの協力を得るなどがあった。 次年度に向け、世代間交流プログラムにより地域づくりの波及効果があった先進事例の視察を計画し、世代間交流を用いたコミュニティビルディングの概念の洗練とその評価指標を検討し、地域に根ざした多世代交流型水引講座の効果評価を進めることが課題である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
地域のニーズに見合う多世代交流型水引講座を立ち上げることができ、その試験運用も7か月間行ったため、平成29年度から本格的に始動できると考える。他の地域づくりを念頭に置いた世代間交流のフィールドの選定もできた。
|
今後の研究の推進方策 |
次年度は最終年度となるため、世代間交流により地域づくりの波及効果のあった先進事例の視察を進め、世代間交流を用いたコミュニティビルディングの概念の洗練とその評価指標を検討する。また地域に根ざした多世代交流型水引講座を本格的に始動し、介入研究としてその効果評価を実施する。 さらにその結果を学会等で発表する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
富山県の世代間交流プログラムの視察について、先方の予定がH28年度中は一杯で、実現できなかった。 また地域との協働のプロセスを経て、世代間交流プログラムを立ち上げたが、試験運用に留まり、データ収集は次年度に行う計画としたため。
|
次年度使用額の使用計画 |
富山県の世代間交流プログラムほか、埼玉県、東京都の世代間交流による地域づくり先進例の視察を進める。 次年度は最終年度のため、立ち上げた多世代交流型水引講座の参加者の心身の健康に関するデータ収集ならびに解析のため、PCの購入とアルバイト謝金などを支出する。 また研究成果を日本公衆衛生学会にて発表する。
|