研究課題/領域番号 |
15K11872
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
白井 裕子 愛知医科大学, 看護学部, 講師 (40351150)
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研究分担者 |
佐々木 裕子 愛知医科大学, 看護学部, 准教授 (10351149)
井上 清美 姫路獨協大学看護学部, 保健科学部, 教授 (20511934)
吉岡 萌 名桜大学, 健康科学部, 助手 (30734727)
稲垣 絹代 聖泉大学, 看護学研究科, 教授 (40309646)
島田 友子 名桜大学, 健康科学部, 教授 (80196485)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 野宿生活者 / アパート生活支援 / ホームレス / 健康相談 / 生活保護受給 / 野宿生活経験者 |
研究実績の概要 |
1)野宿生活経験者および支援者へのインタビューの実施 野宿生活者がどのような経緯やきっかけでアパート生活に移行しているのかを理解するために,野宿生活体験者6名に対して半構造的質問調査を行った。また,アパート生活移行に向けて野宿生活者をサポートしている支援者3名にも,うまくいった事例や困難だと感じた事例について聞き取り調査を行った。 野宿生活経験者の中には,アパート生活など安心した暮らしを取り戻したいと思いながらも,その方法がわからないままに野宿生活を継続せざるを得なかった人がいた一方で,自分の体力が続く限り,野宿生活をし続けようと強く考えていた人もいた。しかし,どちらも病気やけががきっかけて,アパート生活に移行していた。支援者への聞き取り調査からも,アパートに移るきっかけは,病気やけがなどが多いということがわかった。また,今のアパート生活については,野宿生活と比べてほっとする時間もあるが,自分で生活を成り立たせていくことに不安や自信のなさも感じることもあると語った野宿生経験者もいた。 2)野宿生活者へ健康支援活動の実施 研究者らが行ってきた健康支援活動を,継続して定期的に行った。この活動の中で出会った人々に,将来の生活についてどう考えているかを積極的に問いかけ,時にはともに考えあうという試みをしている。多くの野宿生活者は,将来の生活について具体的にはイメージしておらず,「今のままでいい」と答える人も少なくない。その理由について踏み込んできくと,「(アパート生活に)自信がない」「(生活保護課に行く)勇気がもてない」と語られる人もいる。研究者らが一歩踏み込んで関わることは,まずは野宿生活者の気持ちを理解するという意味で重要である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度の計画は,1)研究者らが行ってきた健康支援活動を定期的に行うこと,2)野宿経験者に,今の生活に至る経緯者やきっかけなどについて半構成的質問調査を行うこと,としていた。 健康支援活動は定期的に継続して行っており,野宿生活経験者への聞き取り調査も6名は終了している。また,より多様な事例や状況を理解するために,アパート生活移行に向けて野宿生活者をサポートしている支援者3名にもインタビューを行った。
以上のことから,研究はおおむね順調に進んている。
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今後の研究の推進方策 |
1)平成27年度から引き続き,野宿生活経験者の調査を行う。 2)調査の結果から,「野宿」から「社会」に戻るための要素を分析し,効果的な支援方法の検討をする。 3)効果的であると検討した支援方法は,実際に健康支援活動の中で試みる。
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次年度使用額が生じた理由 |
1)調査結果の報告と検討を行うための研究会の開催を予定していたが開催することができなかったこと,2)物品を安価に購入できたこと,が理由である。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度の予算と合わせて,研究会の実施,物品購入などをしていく予定である。
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