研究課題/領域番号 |
15K11874
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研究機関 | 四條畷学園大学 |
研究代表者 |
谷口 清弥 四條畷学園大学, 看護学部, 准教授 (40508660)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | メンタルヘルス不調 / セルフマネジメント / 困りごと / 求める支援 / 情報源 / 自己イメージ / 生活の仕方 |
研究実績の概要 |
平成26年度、精神科クリニックに通院する患者148名を対象にセルフマネジメントの現状と支援ニードを明らかにすることを目的に質問紙調査を実施した。 平成27年度、調査結果の分析・考察から以下の結論が導かれた。メンタルヘルス不調者の困りごととして,【症状の苦痛と病状の理解困難】【服薬継続の不安と抵抗感】【具体的な療養行動の判断に迷う】【思うように生活できないつらさ】【病気の受容困難とサポート不足】があった。困りごとが,生活行動や生活の質を低下させ,回復への希望や意欲につながらない状況があった。 また、個人が行うセルフマネジメントの内容は逃避的なものから積極的なものまで多岐にわたり,それらは行きつ戻りつを繰り返しながら見出しているものと推察された。そのうえで,多くの対象者は専門家の指導・相談や,カウンセリングによる自己成長,ピアによる交流などセルフマネジメントを高める支援を求めていた。 セルフマネジメントの情報源は概ね医師からの情報で,その他の情報源はあまり活用されていなかった。そのため,個人に合った情報源の紹介や情報提供の必要性とともに,クリニックにおける医師以外の専門職の機能を活かし,患者の困りごとや思いに応じた支援の必要性が見出された。さらに、セルフマネジメントを高めるためには,‘健康に過ごす生活の仕方’への支援を中核としながら,前向きで穏やかな自己イメージの再構築により希望や目標を見出す支援が必要であることが示唆された。メンタルヘルスの不調患者を対象にした研究はほとんど見当たらず、今回、対象者の困りごとやセルフマネジメントの現状を明らかにし、支援の方向性を見出したことは意義がある。 これらの調査により得た内容に基づき、治療学習、イメージ療法、ピアグループの3本柱でセルフマネジメントプログラムを検討し、作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成27年度計の画通り、調査結果の分析からセルフマネジメントの現状と支援ニードを明らかにし、これらの研究成果を学術学会発表、学術論文として報告した。さらに、セルフマネジメント支援プログラム作成にあたり、先行研究の検討、専門誌や一般誌、DVDなどから情報収集した。得た情報と調査結果に基づきセルフマネジメント支援プログラムを考案し、研究協力者間で試行・改変を重ねた。また、実施者のスキルを高める模擬練習を行った。 平成28年度計画であるセルフマネジメント支援プログラムによる介入に向けて、施設の協力を得るために依頼に動いたが、同意が得られたのは1箇所であった。そこで、精神科クリニックに限らず、内科医が診療する心療内科に対象施設を広げることで、さらに1ヶ所協力の同意を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
倫理審査の承認が得られたため、5月より研究協力者の募集を行う。研究協力の同意が得られた対象者には調査票を配布し、介入前調査を実施する。セルフマネジメントワークショップの実施に向けて、研究協力者間での内容確認と進行ついて十分に共通理解する。さらに、資料印刷やホワイトボードなどの開催備品の準備、調査票、返信用封筒、お礼の図書券などの調査に関わる準備を行う。 クリニックとの打ち合わせを経て第1回のセルフマネゾメントワークショップを6月に実施する予定である。その後、研究協力者が集まれば、10月までを目処に第2回、第3回と回数を重ねる予定である。研究協力者が少ない場合は、実施期間を延長する。 データ収集終了後、データ入力、解析を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
介入プログラム作成と倫理審査の承認を得るのに時間がかかり、介入に必要な備品の購入が今年度中に出来なかったため残額が発生した。
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次年度使用額の使用計画 |
プログラム介入を実施するにあたり、小型軽量パソコン15万円、協力者交通費及び謝金5万円、研究協力施設お礼2万円(1万円×2箇所)、研究協力者お礼9万円(3000円×30人)、関連図書5万円、国際学会参加20万円、その他に国内学会参加、文具等の購入を予定している。
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