極低出生体重(VLBW)及び超低出生体重(ELBW)児の共同注意の発達特徴を正出生体重(NBW)児と比較することで明らかにするという第一の研究目的を達成するために、昨年度はVLBW・ELBW・NBW3群の評価結果の差異を検討することができた。今年度は、各群について50名のデータを収集するという目標を達成するために、VLBW児・ELBW児のデータ収集・整理を継続した。ここ数年LBWのための親子教室参加者が減少傾向にあり、目標数には達しなかったが、NBW児50名、VLBW児26名、ELBW児31名のデータが得られた。幼児期早期における簡便、客観的かつ明確な共同注意の評価方法を検討し開発するという第二の研究目的は、昨年度英文学術雑誌に受理・掲載された論文で発表することができた。今年度は開発した『共同注意評価スケール』を用いて、昨年度よりもデータを増やして検討した3群の評価結果を、国内外の関連学会で発表した。 また、今年度は当初、修正月齢1歳6か月時に研究協力していただいたVLBW・ELBW児を、修正月齢2歳6か月時点で再調査し、共同注意評価スケールによる評価結果の差異を、修正月齢1歳6か月時と修正月齢2歳6か月時とで経時的に評価・検討することを予定していた。しかし、研究を進める中で、1歳半~2歳では問題のなかった児が、教室修了(修正2歳6か月)の時期に行動発達の問題が顕在化したり、保護者が神経発達に関する心配や困りごとを相談したりする例が散見された。これらより、低リスクVLBW・ELBW児は、幼児期早期までは問題が顕在化していなくても、将来日常生活行動に問題を抱えたり神経発達症を発症したりする可能性があるのではないかと考え、今年度は修正月齢1歳6か月時の児の行動観察結果をまとめて国内の学会で発表するとともに、研究協力していただいたVLBW・ELBW児の予後調査の準備を実施した。
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