研究課題/領域番号 |
15K11885
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研究機関 | 宮城大学 |
研究代表者 |
安齋 由貴子 宮城大学, 看護学部, 教授 (80248814)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 大規模災害 / 保健師活動 / 避難所運営 / 他職種連携 / 大震災 |
研究実績の概要 |
本研究は、災害時の被災地域内での連携に焦点を当て、地域住民組織、保健医療福祉の関係機関、所属組織内において、それぞれが連携して役割を担い、これらの連携システムが有効に機能するための公衆衛生看護活動モデルを開発することを目的としている。H24-H26(H27に延長)の研究において、東日本大震災の経験を踏まえ、大震災時に行うべき保健師活動について明らかにするために、保健師に聞き取り調査を行い保健師の活動内容について分析し、その後アンケート調査を行った。今回は、この時に了承が得られた対象者に、2回目の調査を行って活動内容を精選した。 調査期間は平成28年2月。調査対象者は147名。調査内容は、8つのカテゴリ、54項目とした。54項目について、優先度が「高い」から「低い」まで5段階で回答を求めた。 回収112人(76.2%)であった。優先度が「高い」「やや高い」の回答を合わせて80%以上を占めた項目は、54項目中44項目(81.5%)であった。一方、6割に満たなかった項目は避難所の運営に関する項目、住民同士の助け合いへの支援、他市町村の避難者を受け入れ体制に関する項目、計4項目であった。「地域の自主的な災害時活動を支援する」は43.8%と最も少なかった。 8割以上の保健師は優先度が高いと回答した44項目は、健康生活への直接的な支援に関する項目であるが、8割に満たない項目については、地域住民の自主活動や他職種に委ね、連携が必要となる項目であった。連携に対する意識や実践について詳細に分析する必要性があらかになった。 その他、豪雨災害で被害を受けた被害者への聞き取り調査について分析し、実施の連携や調査内容について、今後の課題について示唆を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、災害時の被災地域内での連携に焦点を当て、地域住民組織、保健医療福祉の関係機関、所属組織内において、それぞれが連携して役割を担い、これらの連携システムが有効に機能するための公衆衛生看護活動モデルを開発することを目的としている。そのために、東日本大震災時に、どのようなフォーマル、インフォーマルな連携が行われたか、災害時に効果的な連携活動をするためには何が必要かを明確にして、「大規模災害時の被災地における連携システム構築に関する公衆衛生看護活動モデル」を開発し、その有効性を検証する。 平成27年度は、前年度の「大震災時の保健師活動のモデルを構築するための保健師活動」の調査を基に、項目を精選して2回目の調査を行ったその結果を基に、これまでの研究成果と照合し、災害時や災害後における連携のための公衆衛生看護活動について分析・整理することを目標とした。調査によって保健師は、地域住民の自主的活動の支援を含め、他職種に委ねられる項目については優先度が低いと判断していた。健康に関する直接的な支援については優先度が高いと考えており、他職種連携の重要性の理解と、具体的方法について学習の機会が必要であると考えられた。さらに分析検討を継続し、「大規模災害時の被災地における連携システム構築に関する公衆衛生看護活動モデル」について明らかにしてい行く予定である。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、「大規模災害時の被災地における連携システム構築における公衆衛生看護活動モデルの試案作成」を目標に、様々な組織、職種との連携・調整に関する内容と体制、およびこれら関係者との連携を実現するための教育・研修体制などを組み入れたモデルの試案を作成する。また地域住民の立場から見た災害に関する認識や実態についても調査し、地域ニーズに対応した実効可能な試案を作成する。専門家との会議を持ち、試案を精選しモデルを開発する予定である。 平成29年度は、「作成したモデル試案の検証」を目標に、ワークショップや専門家会議によって作成したモデル試案を評価、修正し、モデルの実効性を「検証」していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品費はほぼ予算どおりに執行した。旅費については学会参加・発表が少なく、また研究調査のための旅費も少なかった。 関連テーマの科研の期間を1年延長していため、調査のための印刷・郵送代が抑えられたが、今年度は本科研から支出予定である。
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次年度使用額の使用計画 |
海外発表、出張を予定している。専門家会議の開催も予定どおりに行う計画である。 海外出張費35万円、国内学会出張32万円、人件費・謝金25万円を予定通りに支出する予定である。物品費(予算15万)とその他(予算3万)については、今年度分を合わせて35万、その他30万(アンケートの印刷、郵送代)の支出予定である。新年度になり、すでに物品費25万を使用し研究を遂行している。
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