大規模災害時の被災地における連携システム構築に関する公衆衛生看護活動モデルの構築を目標とし、質的帰納的に大規模災害時の被災地における連携について明らかにした。 まず、被災者同士で少ない物資・空間を分け合うために協力を求めていた(「少ない物資・空間の共有」)。また、「避難者による新たな自主組織づくりの支援」、「元々の地域リーダーや地域のつながりの活用」、「新たな地域・避難所での生活のための近隣の協力」を得るという活動を行っていた。さらに、常に被災者が生活する場をアセスメントし、「地域・避難者の特徴やニーズに基づく活動」をおこなっていた。 住民の健康生活を支援する保健師として、「避難者が生活する場や地域の健康上の課題を明確化」し、「避難者の健康管理」という役割を担い、「避難者個々人の状況に対応した支援」を行うことを通して「避難者や関係者との信頼関係を築き、協力関係を構築」していた。また「災害以前から築いてきた地域との関係を活用して連携」し、「過重労働の緩和や被災者への専門的支援のために外部支援」を受けていた。しかし、外部支援は負担になることも多く、「外部支援者対応の難しさを踏まえた外部支援のマネジメント」が求められた。 さらに、被災という特殊状況による多様な困難に遭遇するため、その対応には災害以前から築いていた関係者と互いに助け合って対応していた(「災害という特殊状況による困難に対する協働」)。さらに保健師自身も被災者であり、一般的な災害時の備えと同時に、災害時の保健師業務に対して身内にも理解と支援を求めておくことも重要であった(保健師個人の災害時の備え)。 これらの結果は、避難所、仮設住宅等の場所に関わらず基本的に同様の活動であった。以上の結果をもとに、定期的に災害時対応を検討し(プログラムの構築)、同時に日頃の保健師活動を通して連携能力の向上を図っていくことが重要である。
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