平成29年度においては、高校生のアルコール健康問題に関する調査結果の分析を深め、現状について、高等学校の養護教諭と情報共有を行い、介入方法の検討をすすめた。養護教諭とのディスカッションにおいては、①高等学校によって生徒の理解力、集中力に差があるため、それぞれの特徴に応じた教材の開発、それを用いた展開方法の工夫が必要であること、②高校生の飲酒を減じていくためには、生徒のみではなく、家族、地域全体に対して働きかけていくことが必要であるが、そのためには高校内においても養護教諭のみではなく他の教員に対する啓発活動が重要であることが示唆された。これらの意見を踏まえ、高等学校において、3年生を対象としたアルコールに関する健康教育を実施した。その際、既存のDVDを部分的に活用し、さらに、アルコールが身体に与える影響を図示したものを示したり、研究者の調査結果をフィードバックした。その結果、視覚的教材が重要であること、データに基づく説明に対して反応があることが明らかになった。また、このような健康教育を実施する先に、養護教諭以外の教員とも意見交換を行い、そのような機会を通してアルコール問題に関する認識を共有し、対応方法について協議していくことの重要性も示唆された。今後は、このような結果を踏まえ、各高等学校の生徒の特性に応じて、教材を選択し、展開方法にバリエーションがもてるよう、複数の教材を開発していくこと、そして、それらを活用した展開方法について検討していくことが求められる。
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