研究課題/領域番号 |
15K11890
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研究機関 | 三重県立看護大学 |
研究代表者 |
脇坂 浩 三重県立看護大学, 看護学部, 准教授 (80365189)
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研究分担者 |
清水 宣明 愛知県立大学, 看護学部, 教授 (70261831)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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キーワード | 感染制御 / 高齢者介護施設 / 高頻度接触環境 / ATP |
研究実績の概要 |
高齢者介護施設におけるアウトブレイクの感染制御体制の構築と高齢者介護施設職員のための感染制御専門家教育課程の構築に関する研究として、介護老人保健施設の高頻度接触環境の観察調査とATP測定による環境の汚染状況を調査した。調査の結果、高頻度接触表面は計8箇所/38箇所(21.1%)であり、両フロアの職員詰所テーブルとデイルーム(DR)付近のトイレ内手すりが共通する以外は、詰所入口ドアノブ、階段ドアノブ、汚物処理室引戸ハンドル、DRテーブルであった。また利用者が接触する環境表面は、定期的に清掃を行う傾向がみられた。次にATP拭き取り検査の結果、ATP値が1,000RLUを超えた環境表面は20箇所/36箇所(55.6%)であり、自立フロア9箇所(50.0%)、認知症フロア11箇所(61.1%)であった。また認知症フロアの9箇所(50.0%)で自立フロアよりも有意に高いATP値を示していた。日和見感染菌検査の結果、2箇所/10箇所でカンジダが検出されたが、その他の菌種は検出されなかった。老健の認知症フロアで高いATP値を示す傾向がみられたのは、認知症による衛生管理能力の低下が要因であると推察される。細菌増殖に不可欠なATPが高値であっても、日和見感染菌をほとんど認めなかったことから、著しく細菌が増殖しない程度に職員の手指衛生行動や清掃が行われていたと推察される。本調査結果は、2015年度日本環境感染学会総会一般演題で報告し、現在、感染管理看護研究会誌に論文を投稿している。 2016年度は高齢者介護施設におけるインフルエンザの感染制御体制とインフルエンザの感染伝播動態の調査を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1施設ではあるが、高齢者介護施設の感染制御に関する環境調査を実施できた。また、調査結果を学会の一般演題で報告することができた。よって、研究計画はおおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
まず、高齢者介護施設のの感染制御に関する環境調査の結果を、現在感染管理看護研究会誌に論文投稿しているので、査読の対応を行う。 高齢者介護施設におけるインフルエンザの感染制御と感染伝播の解析を行うために、高齢者介護施設のフィールド調査を現在行っている。2016年度中に、これらに関連したアンケートと記述疫学調査を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2015年の調査は1施設に限定したので、旅費や消耗品費の使用が少額で済んだ。 本年度は全国規模のアンケート調査、複数の施設における記述疫学の調査を行うので、昨年度より多くの経費が必要となる。
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次年度使用額の使用計画 |
2016年8-9月に、高齢者介護施設を対象に全国希望の調査を行う。次いで(2016年10月~平成29年4月)、その結果をもとに、複数の高齢者介護施設でインフルエンザの感染伝播動態に関する調査を行う予定としている。
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